Mikazuchiを開発したパステルの深谷博美社長
Mikazuchiを開発したパステルの深谷博美社長
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 日立ケーイーシステムズ(千葉県習志野市、泉千賀彦社長)は、日本のベンチャー企業が独自開発した低価格フィッシング対策システム「AntiPhishingMikazuchiSystem」の出荷を9月6日に開始する。独自開発の機器認証方式を利用してフィッシング対策を実現するソフトで、開発元はパステル(東京都港区、深谷博美社長)。ライセンス価格は1000クライアントの場合で500万円程度と、パステルは「他のフィッシング防止システムより一ケタは安い」という。日立ケーイーシステムズは、サポートや導入サービスなどを担当する。

 パステルが開発した機器認証方式「御雷Mikazuchi」は、独自のロジックにより機器固有の数値を自動生成して認証に使うため、暗号鍵を管理する必要がないのが特徴。今回投入したAntiPhishingMikazuchiSystemでは、ログインする際、ユーザーIDやパスワードだけでなく、サーバーと利用者の端末も認証する。これにより、インターネットバンキングなどのIDやパスワードを、キーロガーや偽のサイトなどにより盗まれた場合でも、他の機器からのアクセスを識別してログオンを拒絶するので、なりすましによる被害を防止できる。

 Mikazuchiはすでに、DRM(デジタル著作権管理)システムやファイル暗号化ツールなどの製品にも搭載済みで、国内での利用事例も出始めた。認証できる機器は、サーバーやPC、USBメモリーだが、今後は携帯電話など、より小型の端末にも対象を広げる計画。

 一方、製造・流通業の現場向けシステムを得意とする日立ケーイーシステムズは、以前からUSBデバイスを使った電子割符など、セキュリティ商材を扱っていたが、「顧客の要求は千差万別で、品ぞろえを増やす必要があったことと、日本独自のセキュリティ技術であること」(営業統括本部第二営業本部ビジネスサポート2部の中上秀次副部長)から販売を決めたという。