経済産業省は2007年度の事業として仮想マシンを開発する。オープンソースの仮想マシン・ソフトウエアである「Xen」をベースに,異なるOSでユーザーのアクセス権情報を統合管理する機能や,セキュリティや堅牢性を向上させる機能などを開発する。開発した成果はオープンソース・ソフトウエアとして公開する。
異なるOS間でユーザーのアクセス権情報を統合管理することで,WindowsとLinuxを1台のサーバー上で共存させ,管理することが容易になる。またXenはLinuxをホストOSとするため,Linuxの普及が促進される可能性もある。
セキュリティや堅牢性を向上させるための機能も開発する。ただしセキュリティや堅牢性を向上させるために具体的にどのような手法を用いるか確定していない。
このプロジェクトは経産省の2007年度概算要求の中の「IT及びサービス産業の生産性向上」のための「IT革新を支える産業・基盤の強化」の一環として計画が進められている。「セキュア・プラットフォームの開発」という名称で2007年度の概算要求として15億円を計上した。
政府が開発しているセキュア仮想マシンとしては,内閣官房セキュリティセンター(NISC)が中心となっているプロジェクトが今年度から始まっている(関連記事)。しかし,NISCのプロジェクトはクライアントを対象としているのに対し,今回の経産省のプロジェクトはサーバーを対象としている。またNISCの仮想マシンは,科学技術振興機構(JST)のCRESTプロジェクト「自律連合型基盤システムの構築」で開発されたScrabBook User-Mode Linux (SBUML)や並列VMMといった仮想マシンをベースにすると見られている。そのため,経産省では,両者は重複せず,連携していくことが可能としている。