動画プレーヤをダウンロードさせようとするサイトと,表示される請求書の例(IPAの情報から引用)
動画プレーヤをダウンロードさせようとするサイトと,表示される請求書の例(IPAの情報から引用)
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 コンピュータ・ウイルスなどの届け出先機関である情報処理推進機構(IPA)は9月4日,動画プレーヤ(再生ソフト)の“押し売り”が出回っているとして注意を呼びかけた。インストールされるとデスクトップ画面に請求書などを表示して,料金を支払うよう求める(関連記事:「動画が見たければインストールして」プレーヤに見せかけたスパイウエア)。

 IPAによると,Webページにアクセスしただけ,あるいは画像をクリックしただけで料金を請求するワンクリック不正請求(ワンクリック詐欺)の相談件数が相変わらず多いという(関連記事:「ワンクリック詐欺や偽セキュリティ・ソフトの相談が200件超)。8月中,ワンクリック不正請求に関する相談は204件にのぼった(7月は159件)。

 不正に料金を請求する別の手口としては,ソフトの“押し売り”が挙げられる。料金などを明らかにせずにユーザーにソフトをインストールさせて,その料金を請求する手口である。ソフトがインストールされると,スパイウエア(悪質なプログラム)も同時に仕込まれ,料金の請求書などをデスクトップ画面に表示し続ける。パソコンに保存されている個人情報が盗まれる(外部に送信される)こともある。

 IPAでは2006年5月,セキュリティ対策ソフトの押し売りについて警告している(関連記事:セキュリティ・ソフトの“押し売り”に注意)。これは,実際には感染していないにもかかわらずウイルスなどに感染していると脅かして,セキュリティ対策ソフトと称するソフト(ほとんどは偽物)をインストールさせようとする手口(関連記事:偽セキュリティ・ソフトのだましの手口)。

 2006年8月には,動画を見るための専用プレーヤを売り込む手口が出現しているという。Webサイトに置かれている動画ファイルは独自形式なので,見るためには専用のプレーヤをインストールする必要があるとして,同プレーヤをダウンロードするよう促す。指示どおりにダウンロードおよびインストールすると,デスクトップ上に請求書が表示されるようになる。

 このためIPAでは,有料なのか無料なのか明記されていないようなソフトや,開発元や配布元が信頼できないようなソフトはダウンロードしないよう注意を呼びかけている。

 同日IPAは,8月中に寄せられたウイルス届け出件数を発表した。8月中に寄せられた発見届け出数は3434件(7月は3455件)。そのうち,実害があったのは4件(7月は3件)だった。報告件数が多かったウイルスは,Netsky(881件),Bagle(422件),Mytob(294件)---だった(いずれも変種・亜種を含む)。

 併せて,8月中の不正アクセス届け出件数を公表。届け出件数は50件(7月は15件)で,実際に被害があったのは30件(7月は8件)。内訳は,侵入が17件,ワーム感染が3件,DoS(サービス妨害)攻撃が2件,アドレス詐称が1件---などだった。

 そのほかIPAでは,マイクロソフト製品などのセキュリティ・ホール(脆弱性)情報が公表された場合には,できるだけ早急に修正パッチ(セキュリティ更新プログラム)を適用するよう呼びかけている。セキュリティ・ホールが公開されると,それを突くような攻撃やプログラム(Exploit)がすぐに出現するためだ。

IPAの公開情報