日本HP マーケティング統括本部の松本健平氏
日本HP マーケティング統括本部の松本健平氏
[画像のクリックで拡大表示]

 無線ICタグを活用した業務システム構築に,日本ヒューレット・パッカード(HP)と日本BEAシステムズが新しいアーキテクチャを提唱した。名付けて「RFID 2.0」。企業内の既存システムとの連携や,企業をまたいだデータ連携を視野に入れたICタグシステムの構築がターゲットである。

 両社は,物流の現場など業務システムの“エッジ”でデータ入出力に使うシステムを「RFID 1.x」と定義。これに対して,RFIDを使って収集したデータを企業内の個別の現場システムだけで活用するのではなく,企業内の既存システムや企業間システムなど業務システム全体で活用するものを「RFID 2.0」と位置付けた。

 両社が提唱するRFID 2.0システムは,RFIDの国際標準化団体であるEPCグローバルが標準化したアーキテクチャをベースにしたもの。日本HPと日本BEAの製品やソリューションを組み合わせて両社が協業してユーザー企業への構築提案を行う。

 具体的には,エッジ・システムに日本BEAの「BEA WebLogic RFID Edge Server」,データを蓄積するレポジトリとして「同RFID Enterprise Server」などを利用。さらにシステムのSOA(サービス指向アーキテクチャ)化を前提に,BEA AquaLogic Platformなどのサービス基盤を活用する。これに日本HPのIT基盤およびRFIDシステム構築の実績やノウハウを組み合わせ,EPCグローバル標準モデルでのシステム構築を提案していく。

 すでに日本HPはRFIDシステムの実験・検証施設として,「HP RFID Noisyラボ・ジャパン」を2005年12月に開設している。RFID 2.0システムの提案・構築にあたってもNoisyラボから得たノウハウを生かすとともに,日本BEAの製品を組み合わせたシステムの検証にも活用する。

 日本HP マーケティング統括本部 HPサービスマーケティング本部 本部長の松本健平氏は,「ICタグシステムの構築で,BEA以外のベンダーに対して排他的になるつもりはない。ただしEPCグローバルの標準アーキテクチャをターゲットにした場合に,HPのシステムと一番親和性が高いのがBEAの製品と判断した。両社共同で双方の顧客企業にRFID 2.0システムを提案するなどして,シナジー効果を引き出したい」と語った。