中央大学の在学証明書をセブン-イレブンの店舗に設置したプリンタから発行するデモ
中央大学の在学証明書をセブン-イレブンの店舗に設置したプリンタから発行するデモ
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 情報通信研究機構(NICT)とテプコシステムズ、三菱電機、セブン-イレブン・ジャパン、中央大学は8月30日、ある認証機関が認証した結果を別の機関に引き継ぐ実験に成功したことを発表した。実験に参加した中央大学 総合政策学部長の大橋正和教授によれば、「認証情報を共有する技術は世界でも初めて」だという。

 発表会で見せたデモは、中央大学の在学証明書をセブン-イレブンの店舗に設置したプリンタから発行するというもの(写真)。学生が大学に対して証明書の発行を申請すると、大学が本人であることを確認。学生の携帯電話のICチップ(おサイフケータイなど)に証明IDを登録する。学生がセブン-イレブンのプリンタに携帯電話をかざすと、セブン-イレブンの認証サーバーが中央大学の認証サーバーに対して証明IDを基に認証結果を問い合わせ、認証済みであれば在学証明書を発行する。

 この仕組みの利点は、学生がセブン-イレブン・ジャパンの店舗で個人情報を登録しなくてよい点にある。例えば、ECサイトにおいてクレジット・カードで買い物をする場合などに有効だ。今は、ECサイトのWebページでクレジット・カードの番号や有効期限などを入力し、ECサイトが、その情報を基にクレジット・カード会社に認証を依頼する。これではECサイトに個人情報が渡ってしまう。クレジット・カード会社の認証結果だけをECサイトに引き渡すことができれば、この問題を解決できる。また、複数のサービスを受ける場合に、一つの認証機関での認証を各サービスで共有できれば、一度の認証だけですむという利点もある。

 認証結果の共有/引き渡しは、HTTPを拡張したプロトコルで実現している。「インターネットの標準的な技術を使っているために特別な装置を必要としないことが、特徴」(テプコシステムズの平井憲代表取締役社長)だ。

 発表会では、「コンビニエンスストアのプリンタが住民基本台帳ネットワークシステムにアクセスし、住民票を取り出したりできるようになるのか」との質問が出た。その質問に対して総務省 情報通信政策局の佐藤裁也情報通信政策課長は、「今回は実証実験の段階。政府システムとの連携は考えていない」と答えた。セブン-イレブン・ジャパンの山口俊郎代表取締役社長も、「実証実験に参加したが、この仕組みを使ったサービスが具体的に決まっているわけではない」とした。