総務省が8月30日に開催した「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」の初回会合であいさつする竹中平蔵総務大臣
総務省が8月30日に開催した「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」の初回会合であいさつする竹中平蔵総務大臣
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 「かつて日本の産業の起爆剤は国鉄,NTTの民営化にあった。総務大臣に就任したとき,今後10年は通信と放送の融合がけん引すると感じた」--。総務省が8月30日に開催した「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」の初回会合の冒頭で,竹中平蔵総務大臣はこう語った。

 通信・放送の総合的な法体系に関する研究会の目的は,通信と放送にかかわる法制度の抜本的な見直しにある。通信・放送分野の改革について政府と与党が取り交わした「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」を受けて開催が決まった。

 政府与党合意とは,竹中平蔵総務大臣が主催した「通信・放送の在り方に関する懇談会」(竹中懇談会)と,自民党の片山虎之助・参議院幹事長が委員長を務める「電気通信調査会 通信・放送産業高度化小委員会」(片山委員会)が,それぞれ2006年初頭から半年間をかけて議論したNTTやNHKの組織改革などの方向性をすり合わせたもの。通信と放送に関する法体系についても,早急に検討を着手し,2010年までに結論を得るとの内容が盛り込まれている。

 現状,通信と放送に関する法体系は,サービス区分などによって9本の法律が存在する。具体的には,有線電気通信法,電波法,電気通信事業法,有線放送電話に関する法律,日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法),有線テレビジョン放送法,放送法,有線ラジオ放送業務の運用規正に関する法律,電気通信役務利用放送法--である。これを例えば,伝送インフラ,プラットフォーム・ザービス,コンテンツといったレイヤー区分の新しい法体系に作り変えようというのが,研究会の目的である。

 初回の会合では,総務省が通信と放送の現状の説明や過去の議論の経緯などを説明するとともに,構成員がそれぞれの所感を述べた。研究会では今後1年半を議論に費やし,2007年度内にも結論を出す。次回会合は9月28日に開催する予定で,通信・放送政策の現状と課題について議論する見通しだ。