写真1 懇談会の開催にあたって挨拶をする二階俊博経済産業大臣
写真1 懇談会の開催にあたって挨拶をする二階俊博経済産業大臣
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写真2 懇談会にはNTTドコモの中村維夫社長(左から二人目)やNECの中村勉執行役員常務(左から三人目)などが出席した
写真2 懇談会にはNTTドコモの中村維夫社長(左から二人目)やNECの中村勉執行役員常務(左から三人目)などが出席した
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 経済産業省は8月30日,同省の二階俊博大臣(写真1)の呼びかけで,日本の携帯電話機器産業が直面する課題や将来への提言を議論する「携帯電話機産業の将来のあり方に関する有識者懇談会」を開催した。

 懇談会の出席者は,立教大学教授で富士通総研経済研究所取締役研究主幹の安部忠彦氏,国土技術研究センターの大石久和理事長,東京工業大学の大山永昭教授,インデックス・ホールディングスの小川善美社長(同社の落合正美会長の代理で出席),国際医療福祉大学の開原成允大学院長,パナソニック モバイルコミュニケーションズの櫛木好明社長,日本電波工業の竹内敏晃会長兼最高経営責任者,NECの中村勉執行役員常務,NTTドコモの中村維夫社長,ディーフォーディーアールの藤元健太郎社長,シャープの松本雅史代表取締役副社長の11人。業界を代表するそうそうたる面子が集まった(写真2)。

 懇談会の冒頭で,二階大臣は「経済産業省が省をあげて,新しい経済成長を促す“新経済成長戦略”に取り組んでいるなか,生活と密接な存在になった携帯電話が果たす役割は非常に大きい」と語り,携帯電話の新しい活用方法や業界が直面する課題などについて出席者に意見を求めた。

 懇談会は非公開で進んだが,主に(1)日本の携帯電話の国際競争力の強化について,(2)携帯電話端末の規格の共通化について,(3)コンテンツを含めた携帯電話の新しい活用についての3点に関して,出席者が意見を出し合ったという。

 携帯電話端末の国際競争力の強化については「メーカーの国際的なマーケティングが大事ではないか」「高機能な携帯電話を使いこなしている日本の状況を,文化として海外に発信してはどうか」といった意見が出た。規格の共通化については「携帯電話端末の充電池の共通化が望ましい」など,携帯の活用方策については「遠隔医療への応用を進めては」といったアイデアが飛び出したという。

 なお懇談会の今後のスケジュールは特に決まっておらず,提言のとりまとめの計画も未定という。そのため今回の懇談会は,あくまで経済産業省が有識者から意見をヒアリングしたという位置付けにとどまっている。

 日本の携帯電話端末メーカーの国際競争力の強化については,総務省も取り組みを進めている。7月に公表した「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」の報告書案である「新競争促進プログラム2010」には,携帯端末市場の競争促進を図るために,販売奨励金の見直しも検討すべきとの提言を盛り込んでいる。さらに総務省が5月から非公開で進めてきた「携帯電話の国際戦略に関する勉強会」でも,日本の携帯電話端末ベンダーが消費者に端末の機能や価格を直接訴求するよう意識改革を迫っている。

 両省の連携について経済産業省の横尾英博商務情報政策局情報通信機器課長は,「お互い連絡は取り合っているが,連携についてはこれから」と言う。今後は総務省との連携も含めて,経産省で取り組むべきテーマの洗い出しを進める計画。経済産業省で取り組むテーマとしては,携帯電話の充電池などの規格の共通化や,ソフト開発のエンジニアの育成などを考えているという。