総務省は8月29日,固定電話網のIP化で電気通信設備に求められる技術的条件を議論する「IPネットワーク設備委員会」の第3回会合を開催した。同委員会では今後の電気通信設備に求められる技術的条件を,(1)品質や機能の確保,(2)安全性や信頼性の確保,(3)相互接続性や運用性の確保,(4)その他,に分類して検討を進めている。

 今回は,作業班による検討の途中経過が報告された。(1)の品質では,事業用電気通信設備規則に定められたIP電話の音質基準を見直す。現状は0AB~JのIP電話であれば「エンド-エンドの遅延が150ミリ秒未満」などの音質規定を満たす必要がある。しかし,固定電話網のIP化が進むと,複数事業者を数回にわたって経由する通話が増え,エンド-エンドの音質を規定するのは難しくなる。そこでエンド-エンドではなく,端末-事業者区間を除いた事業者内や事業者間の音質規定を取り入れる。具体的な規定値や評価方法はこれから検討する。10月中に報告書案を作成し,12月末に一部答申が出る見通しである。

 このほか,「安全・信頼性検討作業班」と呼ぶ新しい作業班を立ち上げる。「人為的ミスやソフトの不具合などを原因としたIP系サービスの通信障害が増えており,事故の大規模化や長期化が進んでいる」(総務省総合通信基盤局電気通信事業部電気通信技術システム課の荻原直彦課長補佐)ことに対処するのが狙い。通常の作業班で検討している設備面の技術的条件とは別に,事業者に求められる障害時の対応や監視体制,予防策などを専門に検討していく。こちらは2007年3月ごろに報告書をとりまとめる予定である。