マーキュリー・インタラクティブ・ジャパンは8月31日、システムの稼働状態やアプリケーションの性能、サービスの提供状況などを監視・管理する運用ツールの新版「Mercury Business Availability Center(BAC)6.1」を出荷する。システム運用のベストプラクティス集であるITILに沿った作業を容易にする機能を中心に強化した。

 BACの主要な機能は、(1)End User Management、(2)System Availability Management、(3)Service Level Management、(4)Diagnosticsの四つ。(1)は、エンドユーザー環境で測定したレスポンス時間を基にシステムを監視・管理するもの。(2)はシステムの可用性を、(3)は設定した目標値(KPI)に基づいてパフォーマンスと可用性をそれぞれ管理する。(4)は、アプリケーションの稼働時に発生する問題を分析する機能である。

 BAC6.1ではこれらに加えて、主に2点を強化した。一つは、構成管理データベース(CMDB:Configuration Management Database)を採用したこと。CMDBはネットワークやサーバー、アプリケーションなどを一元管理するもので、ITILに沿ってシステム運用を進める際に重要な役割を果たす。もう一つは、物理的なインフラやアプリケーション、プロセスなどの情報をほぼリアルタイムに取得・図示する「トポロジーマップ」機能を搭載したこと。トラブルの発生時などに、問題の所在を把握しやすくするのが狙いだ。

 このほか、性能測定のために仮想ユーザー環境を実現する際に使うスクリプトを同社のテスト・ツール「LoadRunner」と共有しやすくした、Service Level Managementにおけるサービス・レベルの規定を容易にするウイザードを搭載した、などの強化を図った。価格は、(1)が監視対象1トランザクションあたり60万円(税別、他も同じ)。(2)が、10の指標を監視する場合(10SiteScopeポイント)で16万円。(3)が、1トランザクションあたり19万2000円、もしくは、10SiteScopeポイントで4万8000円。(4)が、監視するアプリケーション・サーバー1CPUあたり128万円。

 すでに米HP(ヒューレット・パッカード)は、米マーキュリー・インタラクティブを年末までに約45億ドルで買収すると発表済み(関連記事)。マーキュリー・インタラクティブ・ジャパンは、今後の日本法人の統合の予定や製品の取り扱いなどについては未定としながらも、「BAC 6.1をはじめとした現行のマーキュリー製品のサポートは今後も継続していく予定。機能拡充も続けていく方針」(岡崎義明マーケティング部プロダクト・マネージャー)としている。