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大阪証券取引所のCIO(最高情報責任者)に当たる
有冨和利取締役

 大阪証券取引所が攻めの姿勢に転じている。今年2月に新売買システムを稼働。7月18日に取引を開始したデリバティブ(金融派生商品)の一種「日経225mini」(従来の日経平均株価先物取引の10分の1の金額で、取引しやすくした商品)の取引高は、1日平均約2万5000単位に達し、順調なスタートを切った。

 大証ではシステムの処理能力不足のため、2005年4月ごろから株価などの情報配信や、約定処理の遅延が頻発。同年5月には、大証が運営する新興市場「ヘラクレス」への新規上場申請を凍結する事態になった。

 その後、今年2月にオープン系サーバーを採用した新売買システムが稼働。1日当たりの注文受付件数は従来の約170万件から420万件へと大幅に向上し、さらに9月末には800万件への増強を予定している。情報配信の遅延は解消され、ヘラクレスの新規上場申請凍結も解除された。こうした状況の中で、新商品である日経225miniを投入した。

 NTTデータ中国テクシス社長から転じ、今年4月から大証の実質的なCIO(最高情報責任者)を務める有冨和利取締役に、今後の方針などを聞いた。

2月に新売買システムが稼働した。

 幸い、大きなトラブルもなく順調に稼働している。6月ごろに処理量が膨らんだが、無事乗り切った。9月末に注文受付件数を420万件から800万件に倍増させる。3月末までにさらに倍増させる計画もあるが、実際にどうするかは費用対効果を見極めて判断する。

 新売買システムの開発自体は私の就任前に実行されたが、私の目から見ても、拡張性があって、うまく作ってあると思う。当面はこのシステムを使っていく。日々の注文受付件数などに対する監視を強化し、処理能力増強だけではなく、取引が少なければ能力を減らすことも柔軟に考えていきたい。

東京証券取引所も今年2月にCIOを招き、次世代システムの検討を進めている。

 東証はこれからシステムを更新するが、大証は既に新システムが動いているという点で、立場が違う。同じ証券取引所でも、東証は現物株の取引が多いが、大証はデリバティブ取引に特徴がある。大証は現物株もデリバティブも同じ売買システムで処理しており、デリバティブの清算システムを自前で持っているなどの点も東証と違う。