「今回の買収で、通常なら獲得に2年かかる約35万もの顧客を一気にJCOM傘下に納めることができた」と語るジュピターテレコムの森泉知行社長。買収後JCOMは、業界2位のジャパンケーブルネット(JCN)のユーザー数の約6倍ものユーザー数を抱えることになる
「今回の買収で、通常なら獲得に2年かかる約35万もの顧客を一気にJCOM傘下に納めることができた」と語るジュピターテレコムの森泉知行社長。買収後JCOMは、業界2位のジャパンケーブルネット(JCN)のユーザー数の約6倍ものユーザー数を抱えることになる
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 国内最大手のCATV局であるジュピターテレコム(JCOM)は2006年8月28日、業界3位のCATV局、ケーブルウエストを買収すると発表した。ケーブルウエストは、関西エリア(大阪市内の9区と大阪府北部の11市1町)でケーブルテレビ放送やCATVインターネット接続サービスを提供するCATV局である。JCOMは、ケーブルウエストの主要株主である松下電器産業と廣済堂が保有する株式(約12万5000株)を、2006年9月28日に取得。既に出資していた9%分と合わせると、合計74%の株式を保有することになり、ケーブルウエストの筆頭株主に躍り出る。買収により、JCOMのCATVサービスの加入者は、約223万世帯から約258万世帯に拡大。約30%だった国内のケーブルテレビ市場でのシェアは、約35%へと増える。関西1府2県に限れば、約70%のシェアを握ることになる(買収前は約42%)。買収総額は約474億円になる見込み。買収により、松下電器産業は、ケーブルテレビ事業から撤退することになる。

 買収と並行して、JCOMと松下電器産業は協力関係を強化することも合意している。松下電器産業が手がけるCATV受信装置であるセットトップボックス(STB)事業、およびテレビ向けの情報提供サービス「Tナビ」事業について、協力関係を結ぶ。「ハードディスク内蔵型のSTBを共同開発したり、CATV向けにカスタマイズしたTナビサービスを提供したりしたい」(森泉知行社長)意向だ。

 なおJCOMは、ケーブルウエストのサービスを「将来的にはJCOMブランドへ統合するつもり」(森泉社長)としながらも、当面は現状のサービス内容、料金を据え置いたまま提供を続けるとしている。