総務省は近く,具体的なNHK改革策の検討に入る見通しだ。政府と与党が2006年6月20日に合意した通信・放送改革の基本方針を基に,検討を進める。

 政府・与党合意のベースになったのが,竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」が6月6日にまとめた報告書である。この報告書には,NHK改革案がふんだんに盛り込まれた。懇談会の関係者によると,一連の不祥事で世間からの風当たりが強かったNHKが,最も改革しやすい対象だったという。懇談会には,そんな「まな板の鯉」となったNHKを使って,通信・放送の融合時代にふさわしい次世代の放送事業者の姿を民放事業者に示そうとする意図があった。民放の経営改革の手本となるように,まずはNHKを改革するという作戦である。

 例えば懇談会がまとめた報告書には,NHKの番組伝送部門を子会社化したうえで,余った地上デジタル放送の周波数帯域を,通信サービスや通信と放送の融合サービスに活用できるようにすることが盛り込まれた。政府・与党合意では,伝送部門を本体から切り離すことなく,その会計をしゅん別するだけでよいとされたものの,方向性は同じである(詳細は日経ニューメディア2006年8月28日号に掲載)。