「ネット経由の漏えい対策は進んでいるが,紙経由の漏えいは穴だらけ。そんな状況もあり,発売から1年間で,製品への引き合いが急増している」。キヤノンマーケティングジャパンの大北 忠ITサービス企画本部ITサービスビジネス企画課チーフはこう感触を語る。

 日経BP社のイベント「内部統制ソリューション展」では,情報漏えい対策製品の展示が多数みられたが,キヤノンマーケティングは,キヤノングループらしい製品を展示した。コピー機やプリンタに情報漏えい対策を施す「imageWARE Job Archive System」製品群だ。

 目玉の1つは,プリンタやコピー機で打ち出された紙の流出防止機能。部門共有のコピー機にソフトやICカード読みとり機を組み込み,本人確認の機能を追加。これにより,本人以外がプリントされた紙を取得することを防ぐ。

 また,コピーやファクス機能で読み取られた紙のイメージを保存し,OCR機能でスキャン。「コピー禁止」など指定された語句が入ったコピーについて,いつ,誰が,それをコピーしたか,ログとして残す。クライアント・パソコンから打ち出された紙についても同様の対処が可能である。このように,内部統制において見落としがちな,“紙”による情報漏えいに注目した点が受け,昨年8月に出荷以来,「急速に引き合いが増えている」(大北氏)という。

 日本ネットワークセキュリティ協会の調査によると,情報漏えいの案件のうち,WebやFTPによる漏えいの割合は減少しているが,紙による漏えいの割合が急増している。2003年度は14%だったが,2004年度は45.9%,2005年度には49.9%とほぼ半数にまで拡大している。「法令遵守の観点から見ると,漏えい対策の対象は紙にまで広げないと意味がない。今後は,ITと紙を組み合わせた対策に焦点が当たっていくだろう」(大北氏)。