KDDIの渡辺文夫・技術統轄本部技術開発本部長
KDDIの渡辺文夫・技術統轄本部技術開発本部長
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 KDDIは8月22日,第3世代携帯電話のデータ通信規格を拡張した「EV-DO Rev.A」(1x Evoluation Data Only Revision.A)と「BCMCS」(BroadCast/MultiCast Service)の運用を開始すると発表した。EV-DO Rev.Aは12月から,BCMCSは9月から順次展開を開始する。「具体的な対応端末やサービス内容などは来週発表する」(重野卓au事業本部au商品企画本部モバイルサービス部長)。

 EV-DO Rev.Aは,現行のEV-DO Rev.0に比べて(1)上り方向の最大通信速度を現行の144kビット/秒から1.8Mビット/秒に高速化,(2)下り方向を2.4Mビット/秒から3.1Mビット/秒に高速化,(3)無線区間のQoS(quality of service)制御の導入,(4)伝送遅延の短縮,といった点を強化した。VoIP(voice over IP)に代表されるリアルタイム通信や,大容量ファイルのアップロードなどが可能になる点が特徴だ。「まずは,テレビ電話サービスを投入する」(重野部長)としている。

 事業の展開計画は,「現在再編を進めている800MHz帯の新周波数に対応した基地局と,2GHz帯に対応した基地局を新設する形でカバー・エリアを広げる。3年間で約2000億円を投資し,現行のEV-DO Rev.0以上のカバー・エリアにする」(渡辺文夫・技術統轄本部技術開発本部長)とした。12月のサービス開始時に東名阪エリアをカバーし,2007年3月には全国の政令指定都市を対応エリアにしていく予定だ。

 もう一方のBCMCSは,一つの無線チャネルを使って多数のユーザーに同一コンテンツを一斉同報配信する技術。重野部長は「例えばコンテンツ配信サービス『EZチャンネル』において,今までは扱えなかったような大容量コンテンツを送れるようになる」とした。現行の技術ではユーザーごとに無線チャネルを占有する必要があるため,多数のユーザーに大容量コンテンツを同時送信することは難しかった。

 BCMCSのサービスは9月から全国で提供する予定だ。早期に全国展開できる理由について,渡辺本部長は「既存のEV-DO Rev.0に対応した基地局のソフトウエアを,アップグレードするだけで対応できるため」と説明している。ただしBCMCSを活用したサービスの利用には,対応端末が必要である。