KDDIは2006年8月22日、auブランドで提供している携帯電話サービスにおいて、2006年12月以降順次、新たな通信規格の導入を進めると発表した。現行規格であるCDMA2000 1x EV-DO Rev. 0の上位版に当たるCDMA2000 1x EV-DO Rev. Aを採用する(発表資料)。

 Rev. AはRev. 0を基にした通信規格で、大半の仕様は共通だが、(1)上り(端末→基地局)の最大パケット通信速度を現行の144kbpsから1.8Mbpsへ高速化する、(2)パケットの種類ごとに伝送の優先順位を設定するQoS(quality of service)制御を導入する、といった違いがある。KDDIではRev. Aならではのサービスとして、例えばIP(internet protocol)網を用いたテレビ電話などを提供していく予定。

 KDDIを含む国内の携帯電話事業者各社は現在、総務省と共同で携帯電話サービスに用いる周波数帯の整理・統合を進めている。KDDIでは2006年12月以降、現在はほとんど使用していない2GHz帯や、総務省から再割り当てを受けた800MHz帯を用いるサービスの提供をしていく予定。この周波数帯の整理・統合に合わせてRev. Aの導入を進める。Rev. Aと新周波数帯を利用するには、基地局側の切り替えに加え、ユーザーが対応端末を用意する必要があるため、今後数年かけて徐々に移行を進めていくことになる。

 Rev. Aに準拠した基地局の運用は、サービス開始当初は東名阪の主要都市、2007年3月をメドに全国の主要都市で順次展開していく。今後3年ほどかけて、現在のRev. 0と同程度の地域をカバーしていく方針だ。

 このほか同社では2006年9月から、auのパケット通信網において、単一のデータを複数の端末へ向け一斉同報するBCMCS(broadcast/multicast services)機能を実装する。現行のauのパケット通信網では、データ通信はau側のサーバーと端末との間で1対1で送受信する方式に限られている。新たにBCMCSを採用することで、多数のユーザーが同一のコンテンツをダウンロードしようとしている場合などに、周波数帯の利用効率向上、ネットワークの輻輳の軽減といった効果が見込めるとしている。BCMCSの利用例として同社では、ニュースなどの映像コンテンツの配信を検討しているという。

 新設するRev. Aの基地局のほか、現行のRev. 0の基地局でもソフトウエアの更新によりBCMCSの配信に対応する予定で、サービス開始当初から全国一斉にBCMCSの配信を可能とする。ユーザーがBCMCSでコンテンツ配信を受けるには、対応端末の購入が必要となる。

 KDDIでは、Rev. AやBCMCSを用いた新サービスや対応端末を2006年8月末に発表する予定。新サービスで提供するコンテンツの詳細や利用料金などもその際に明らかにするとしている。