アルファシステムズは8月22日,回線の遅延や停止への耐性を高めたインターネットVPN装置「alpha W-VPN 1000」を出荷する。回線冗長化装置(リンク・ロードバランサー)の機能とVPN装置の機能を併せ持つ特徴がある。

 インターネットVPNは一般に「安価だが(IP-VPNや広域イーサネットに比べて)信頼性が低い」と言われる。alpha W-VPN 1000は,その弱点である「信頼性の低さ」をカバーする製品と言える。同社が社内LANやIP電話の基盤として使うIP-VPNの置き換えとして,自社の一部拠点(データセンター+5拠点)に導入したところ,パケットの損失率や遅延率などのサービス品質をほぼ同等に保ちつつ,月額228万円だった回線費用を同33万円(FTTHを利用した場合)に削減できたという。

 遅延や回線断を防ぐカギになるのは,アクセス回線の二重化だ。例えば,異なるインターネット接続サービス事業者のADSL/FTTHサービスと契約し,双方のアクセス回線をalpha W-VPN 1000に接続しておく。データを送信する場合,alpha W-VPN 1000はパケットに識別情報を付加したうえで,自動的に複製し,アクセス回線の両方を通じて受信側のalpha W-VPN 1000に送信する。受信側のalpha W-VPN 1000は,二重化したアクセス回線から先に届いたパケットを受け入れ,遅れて届いたパケットを破棄する。この仕組み上,パケット損失が発生するのは,両方のアクセス回線で同時に同じパケット損失が生じた場合に限られる。また,両方のアクセス回線が同時に障害停止しない限り,回線断は起こらず,回線切り替え時の瞬断も発生しない。

 対応する暗号方式は,DES,3DES,AES。パケット優先制御と帯域保証の機能も備える。価格は,1台当たり35万円(税別)から。