制御システムなどのインテグレーションを手掛ける日立情報制御ソリューションズが、セキュリティ関連事業の拡大に向け本腰を入れ始めた。これまでの生産現場の制御システムや組み込み開発などに続く、新たな事業の柱に育てたい考え。

 セキュリティ関連事業は「セキュアオフィス」をブランド名に展開する。中でも、特に注力する製品が二つある。一つは、指静脈認証技術を利用した認証システム。電子錠と連動し入退室管理などに使うシステムと、パソコンなどに接続するスキャナなどがある。これまでに、9000台程度のスキャナを販売した。今後は、虹彩や手のひら静脈、指紋などの生体認証技術に比べ、設置の自由度が高いことなどを差異化点に、年間2000台程度の販売を見込む。

 もう一つは、自社開発した既存パソコンをシンクライアント化するUSBメモリー製品の「PocketClient」。今夏に出荷を始めたばかりで、USBメモリー内にICカードを内蔵するのが特徴。ここに認証や暗号化のための情報を格納することで、紛失時など第三者による不正利用が防げるという。PocketClientを差し込んだパソコンは、データセンターなどにあるサーバー上のアプリケーションを利用するシンクライアントになり、ハードディスクなどの使用やローカル・プリンタへの印字はできなくなる。

 日立情報制御ソリューションズは、この4月に旧日立ハイコスと旧日立エンジニアリングが合併してできた会社。2月には、製造業向け情報制御システムを開発する部門(旧日立ハイコス)が、ソフト開発プロセスの成熟度を示すCMMI(能力成熟度モデル)で最高位のレベル5を取得している。