米ビビシモのセールス担当バイス・プレジデントを務める、ジョセフ・C・ルバス氏
米ビビシモのセールス担当バイス・プレジデントを務める、ジョセフ・C・ルバス氏
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米ビビシモがインターネット上で公開するメタ検索サービス「Clusty」。左端に、クラスタリングの結果が表示されている。検索結果に含まれている話題を一覧できる
米ビビシモがインターネット上で公開するメタ検索サービス「Clusty」。左端に、クラスタリングの結果が表示されている。検索結果に含まれている話題を一覧できる
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日本語版の「Clusty」。検索結果の中身を、同じ画面の中で確認できる「プレビュー」機能を実行したところ
日本語版の「Clusty」。検索結果の中身を、同じ画面の中で確認できる「プレビュー」機能を実行したところ
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 グループネットは2006年8月10日、企業向け検索エンジン「Vivisimo Velocity 5(ビビシモ・ベロシティ・ファイブ)」の出荷を開始した。検索結果を内容によって自動分類する「クラスタリング」機能や、自社のエンジンのみならず他の複数の検索エンジンからも結果を収集できる「メタ検索」機能などが特徴だ。開発は米ビビシモ。日本総代理店であるグループネットは、元ロータス社長の菊池三郎氏が創業し、社長を務めるベンチャー企業だ。

 米グーグルや米オラクルが参入するなど、企業向け検索エンジン市場はにわかに熱を帯びている。こうした状況の中で、Vivisimoをいかに展開していくか。米ビビシモのセールス担当バイス・プレジデントであるジョセフ・C・ルバス氏に聞いた。

■Vivisimo Velocity 5の強みは。

 強みは大きく3つある。1つ目は、優れたユーザーエクスペリエンスを提供できることだ。単純に情報を見つけるだけでなく、ユーザーが欲しいものを提示できる。代表的なのが、検索結果を自動分類するクラスタリング機能。キーワードにヒットしたデータの内容を即時に解析し、話題に応じてカテゴリー分けする。膨大な検索結果を上位から一つずつ調べなくても、目的の情報にたどり着きやすい。これまでは見逃されていた話題が検索結果の中に含まれていることが分かり、思いがけない発見につながることもある。

 2つ目は柔軟性の高さだ。Velocity 5は、インデックス作成時にファイルを細かな単位に区切ることができる。例えばページ単位、パラグラフ単位、Excelシートのセル単位などだ。一般的な検索エンジンは、キーワードにヒットしたファイルを開いた後に該当の個所を探さなければならない。これに対してVelocity 5なら、探しているページやパラグラフ、セルにすぐにアクセスできる。こうした柔軟さがある半面で、コンテンツへのアクセス制限など、企業による厳密な統制も可能にしている。これによって、セキュリティを確保している。

 最後は、展開(デプロイメント)の容易さだ。Velocity 5は細かくモジュール化されており、まず一部の機能だけを利用し、段階的に拡張していくといったことが容易にできる。例えば米国政府の公式ポータル「FirstGov」に導入したときは、たった8週間で作業が完了した。さらにこの際は、従来の検索エンジンの半分のコストで、5倍のドキュメントを扱えるようになった。

 当社の技術を理解してもらうため、我々はインターネット上で「Clusty」という検索サービスを公開している(日本語版はこちら)。メタ検索機能を使い、複数のインターネット検索エンジンから検索結果を集めて提示している。それをクラスタリングした結果も表示している。別途ブラウザーを起動することなく検索結果の中身を見ることのできる、「プレビュー」機能もある。

■日本市場における戦略は?

 大企業レベルのデータを扱える検索エンジンは、日本ではまだあまり普及していない。その意味で、ビジネス的な要求はとても高いと考えている。カギを握るのは、パートナーとの協力関係だ。グループネットと密に連携して企業からの要求をつかみ、確実にサポートしていきたい。

 日本語対応など日本独自のテーマはもちろんあり、非常に力を入れている。ただ企業内に膨大なデータがあり、それをどのように取り出すかという根本的な課題はどの国でも変わらない。先に述べた、Velocity 5の3つの特徴が、問題の解決に役に立つだろう。

 唯一、日本特有のテーマとして挙げられるのが携帯電話に対する要求が高いことだ。携帯電話の画面は小さいので、検索結果を整理し、ユーザーが求める情報を提示することがとても重要だ。既に、2006年6月にビットレイティングスと提携し、携帯電話向けにクラスタリング技術を提供している(関連記事)。

■米国ではどのような評価を受けているのか。

 2000年に創業して以来、ビジネスは拡大を続けている。特にここ3年ほどは大きな利益を出している。仏エアバス、米シスコ・システムズなど多様な国・業種の企業に採用されている。

 米国では、2006年5月にVelocity 5を出荷した。好評を博しており、新規のユーザーも増えている。恐らくこの四半期は、創業以来で最高の売り上げを記録するだろう。