決算を発表するソフトバンクの孫正義代表取締役社長
決算を発表するソフトバンクの孫正義代表取締役社長
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 ソフトバンクは8月8日、2006年度第1四半期(4~6月)の決算を発表した。会見に臨んだソフトバンクの孫正義代表取締役社長(写真)は、「ボーダフォンを買収して本当によかった。千載一遇のチャンスだった」と話し、ボーダフォンを連結子会社とすることで前年同期比で全面的に改善した決算数値を披露した。ただし、特別損失や税金などを差し引いた同四半期の純利益は14億円で、かろうじて黒字を達成するにとどまった。

 四半期の連結売上高は4942億円。前年同期の2586億円からほぼ倍増となった。増加した2356億円のうち2315億円は、ボーダフォンの売り上げの5月1日から6月末までの2カ月分である。同社は、年間連結売上高が2兆円を超えるのは確実とみている。

 利益は四半期の営業利益が543億円と、前年同期に比べて575億円増加した。この営業利益のうち、ボーダフォンによる分が272億円を占める。

 もっとも、ボーダフォンの買収に伴い銀行などから1兆2800億円を借り入れたため、負債は倍以上となった。当初、短期で借入した資金は「9月をメドに、平均7年程度の長期に借り替える」(孫社長)。従来からの事業の負債も合わせた連結での有利子負債は、2兆1786億円となった。

 ボーダフォンの携帯電話事業については、第3世代サービスの基地局と回線を増強する方針を打ち出した。6月末で2万2771局ある基地局を、2007年3月末までに総数で4万6000局に倍増させる。

 法人顧客へのサービスも強化する。具体的には10月以降、携帯と固定の電話回線を連携させたFMC(fixed mobile convergence)サービスの提供に乗り出す。孫社長は内容について語らなかったが、FMCは一つの電話番号で固定と携帯の両端末を利用できるようになるサービスのこと。こうした法人顧客に対し、日本テレコムの営業部隊1500人を活用して売り込む。