同社の専用サーバーにつなぐことで、インターネット経由で映像送信を実現する
同社の専用サーバーにつなぐことで、インターネット経由で映像送信を実現する
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2006年9月に発売するパッケージ版では、USB接続のテレビチューナーが付属する
2006年9月に発売するパッケージ版では、USB接続のテレビチューナーが付属する
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 オネストテクノロジーは2006年8月4日、テレビ映像を送信するソフト「MY-IPTV Anywhere」のダウンロード販売を開始した。家にあるパソコンなどをテレビ映像サーバーにして、インターネット経由でほかのパソコンへ送信する。価格は4200円。ソニーが2005年9月に発表した送信技術「ロケーションフリー」も同様の機能を持つが、専用のアクセスポイントが3万円前後とやや高価だった。同ソフトは手ごろな価格でテレビ送信を実現するとあって注目度は高い。

 遠隔地でテレビを見るには、テレビ映像を送信するパソコンにサーバーソフト、視聴するパソコンにクライアントソフトをインストールする。インターネット上には同社の中間サーバーがあり、送信側パソコンでログインしておくと、視聴側パソコンも中間サーバーにログインすることで、いつでもテレビが見られるようになる。ただし、送信側パソコンのLAN環境にルーターが設置されている場合、ポートの開放やIPアドレスを指定する必要があり、一般ユーザーにとってハードルが高い。記者が試してみたところ、初めはなかなかつながらず、何度も設定を繰り返した。

 一度つながってしまえば、画質は良好だ。フレームレートも十分でギクシャク感はない。映像は携帯機器向けの高圧縮規格であるH.264に変換して送るため、送信時のビットレートはかなり低いと思われる。ただし、録画する場合はH.264形式ではなく、画質の劣るMPEG-1形式で保存される。また、著作権に配慮し、録画した番組は中間サーバーに保存され、パソコン内には保存されない仕組みだ。予約録画もできないなど、テレビパソコンと比べると使い勝手はかなり異なる。

 注意したいのは、テレビチューナーが付属しない点。別途用意して送信側パソコンに搭載する必要がある(2006年9月にUSB接続のテレビチューナーをセットにしたパッケージ版を発売予定)。利用できるのはソフトウエアエンコード方式のみ。「ハードウエアエンコード方式は各社仕様にばらつきがありサポートできない」(オネスト・テクノロジー日本支社の山口真也氏)という。そのため、ハードウエアエンコード方式が多い店頭売りのテレビパソコンなどは、そのままでは使えない可能性が高い。

 機能や使い勝手などはまだまだ改善の余地がある。とはいえテレビ送信ソフトは登場したばかり。今後はアップデートで改良される可能性もある。事実、後日予定のアップデートでは、H.264形式の録画機能のほか、タイムシフト機能や予約録画機能などが追加される見込みだ。注目は、2006年9月中旬に配布予定のWindows Mobile対応クライアントソフト。「W-ZERO3」(シャープ)などのPDAでもテレビ送信ソフトが利用できるようになる。モバイルユーザーは注目だ。