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 日本テレコム,東北大学,宮城県の3団体は8月4日,宮城県仙台市内で実施している無線ブロードバンドの実証実験を公開した。「Flash OFDM」という規格を採用した無線の実験である。実証実験を開始したのは2005年7月だが,関係者以外に内容を公開したのはこれが初めて。

 公開実験では,静止した状態での速度測定サイトを利用したスループット測定に加え,Webアクセス,1Mビット/秒の動画ストリーミング,IP電話ソフト「Skype Video」によるテレビ電話などのデモを実施。さらに,仙台市内を走行するバスに乗りながら,Skype Videoや動画ストリーミングを利用して見せた。

 静止状態では,家庭のADSL(asymmetric digital subscriber line)と遜色ない品質でWebアクセスや動画ストリーミングを利用できた (動画を表示)。バスの走行中は,Skype Videoや動画ストリーミングが時折途切れることがあったが,おおむね安定した通信を実現していた。

 速度測定サイトで計測した通信速度は,静止状態で下り2.64Mビット/秒,上り463.77kビット/秒(写真1)。規格上の最大速度は下り3.2Mビット/秒,上り900kビット/秒で,下りでは理論値の8割以上の実効速度だったことになる。東北大学電気通信研究所の中瀬博之助教授は「無線通信としてはかなり良い数字」と評価した。

 実験で利用している「Flash OFDM」は,米クアルコムが買収した米フラリオン・テクノロジーズが開発した技術。モバイルWiMAXやIEEE 802.20などにも採用されている,「OFDMA」(orthogonal frequency division multiple access)をベースとしている点が特徴だ。今回の実験では2GHz帯の周波数を利用。復信方式はFDD(周波数分割復信)で,占有周波数は片側1.25MHzである。