「すべてのユーザーにセキュリティ対策を分かりやすく迅速に伝えるには,人と人とのネットワークが不可欠。このためセキュリティ対策推進協議会では,ユーザーに情報を“手渡し”してくれるサポータを募集している」---。セキュリティ対策推進協議会(SPREAD)の代表である下村正洋氏は8月1日,プレス向けの説明会において,SPREADの活動内容などを解説した。
SPREADとは,セキュリティの啓蒙を目的に2004年12月に設立された団体。ISPおよびベンダー計18社と,日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)およびテレコム・アイザック推進会議(Telecom-ISAC Japan)で構成される。
SPREADが狙うのは,全国の隅々までセキュリティ対策情報を確実に伝えられる仕組みづくりである。このために,SPREADではサポータ制度を用意し,SPREADが配信したセキュリティ情報を各ユーザーに伝えるサポータを募集している。「ユーザーにセキュリティ情報の入手方法を尋ねると,『パソコンに詳しい身近な人に聞く』という答えがとても多い。そういった『身近な人』になってもらおうというのがサポータ制度である」(下村氏)
サポータになるには,その人が所属する法人/団体の推薦が必要。サポータになれば,SPREADがまとめたセキュリティ情報の配信を受けられる。サポータはその情報を使って,サポートを受けたいと希望しているユーザーへ対策を促す。
サポートの提供形態は,サポータの所属法人/団体にすべて任せられる。まったくのボランティアで実施してもよいし,有償のサービスとして提供することも可能である。内容も,SPREADの情報をメールで転送するだけでもよいし,対応(例えば,パッチの適用)まで請け負ってもよい。サポートを受けたいユーザーが判断して,サポート提供を申し込めばよいとする。「来年度には,希望するサポータをユーザーが探せるようにする“マッチング・サイト”を立ち上げる予定だ」(下村氏)
関西や九州の一部では,SPREADのネットワークが構築されていて,2月からセキュリティ情報の試験配信を開始している。「例えば,大阪ではNPO(非営利団体)224団体が参加しており,それぞれにサポータがいて情報共有を進めている。大分では11団体が参加して,サポートの体制を整えている」(下村氏)
「全国のユーザーに情報を伝えるには,1万人規模のサポータが必要だ。しかし,現状では数百名程度。興味がある方は,ぜひ登録して『あなたの街のサポーター』になっていただきたい」と下村氏は訴える。サポータ制度の詳細や申し込み方法などは,SPREADのサイト(http://www.spread-j.org/)に掲載されている。SPREADでは8月1日にサイトを刷新し,セキュリティ関連のコンテンツを充実させたという。