写真1 三菱スペース・ソフトウエアの緊急地震配信サービス「MJ@lert」の受信機,警告灯,スピーカーの一式
写真1 三菱スペース・ソフトウエアの緊急地震配信サービス「MJ@lert」の受信機,警告灯,スピーカーの一式
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 「震度5の地震が発生,残り15秒」──。地震の大きな揺れが来る前に地震の規模や到達時間を伝える「緊急地震速報」の運用が,8月1日に正式にスタートした。

 緊急地震速報とは,気象庁が2004年2月に試験運用を始めた地震による被害の軽減を狙った地震情報提供システムのこと。地震の初期微動(P波)の波形をいち早くキャッチし,それを解析することで,主要動(S波)による強い揺れが来る前に地震の規模やその到達時間を周知することができる。

 緊急地震速報の正式スタートを受け,その特需を狙ってさまざまな分野でビジネスが本格化しそうだ。例えば,宇宙システムから防災システムまで幅広い分野のITシステムを手掛ける三菱スペース・ソフトウエアは,一般の企業オフィスや工場の需要を見込んで,緊急地震配信サービス「MJ@lert」を開始した。地震到達時間と地震規模を,専用のスピーカーと警告灯で伝える(写真1)。「受信機の調達からADSL回線の敷設までワンストップで提供できるため,納期の短縮,コスト軽減が見込める」(和田安司つくば事業部第四技術部長)。MJ@lertの初期費用は20万円(税別)。月額利用料金は3万5000円(同)である。

 今後は,IPテレビ電話を使った告知や地上デジタル放送によるデータ配信も実現する可能性がある。NTT東日本は,IPv6マルチキャストによる緊急地震速報配信の実証実験を3月から実施中。緊急速報は,IPテレビ電話機「フレッツフォン VP1000」で受けられる。一方,地上デジタル放送による防災情報データ配信の実証実験は,2006年12月に開始される予定だ。