オープニングセレモニーで握手する松江市長 松浦正敬氏(左)とRuby作者まつもとゆきひろ氏(右)(写真:松江市)
オープニングセレモニーで握手する松江市長 松浦正敬氏(左)とRuby作者まつもとゆきひろ氏(右)(写真:松江市)
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松江オープンソースラボの外観(写真:松江市)
松江オープンソースラボの外観(写真:松江市)
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松江オープンソースラボ(写真:松江市)
松江オープンソースラボ(写真:松江市)
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 松江市は7月31日,「松江オープンソースラボ(松江市開発交流プラザ)」を開設した。オープンソース・ソフトウエア(OSS)に特化した研究・開発・交流のための拠点として,誰でも自由に無料で利用できるよう開放,地域のIT産業振興を図る。

 松江市では現在「Ruby City MATSUE」と呼ぶ産業振興プロジェクトを進めている。松江市には,オープンソースのオブジェクト指向言語「Ruby」を開発した,ネットワーク応用通信研究所研究員のまつもとゆきひろ氏が在住している。Rubyは海外でも多くの書籍が刊行され,カンファレンスも開催されるなど世界的に普及している。またここへ来て,Webアプリケーション・フレームワーク「Ruby on Rails」が開発されたことにより業務への応用も急速に進んでいる。

 松江市では,Rubyをはじめとするオープンソース・ソースソフトウエアを松江市のIT産業の特色として活用することで,地域のIT産業の振興をはかる。

 Ruby City MATSUEプロジェクトでは,企業,自治体,大学や高専などの学術機関が連携し,技術の向上や情報発信を行う。そのための交流の場となるのが松江オープンソースラボとなる。松江オープンソースラボは駅前に設置,技術者が自由に利用できる施設として開放する。Rubyやオープンソースに関するカンファレンスなども計画されている。

 また島根県のIT関連企業などが9月に「しまねOSS(オープン・ソース・ソフトウエア)協議会」を設立する(関連記事)。しまねOSS協議会も松江オープンソースラボ会合や講習会などに活用する予定である。

 7月31日に行われたオープニングセレモニーには,まつもとゆきひろ氏,松江市長 松浦正敬氏らが出席した。

 松江市長 松浦正敬氏は談話で「これからは、明確な差異化戦略をとった地域のみが持続可能な都市として自立できる。差異化戦略とは地域ブランドの創造にほかならない。こうした中で、本市が注目したのが世界的に有名なプログラミング言語『Ruby』であり、その開発者である『まつもとゆきひろ氏』。松江を世界に誇れる『Ruby のメッカ』にしたい」とRuby City MATSUEプロジェクトによる産業振興への意気込みを表明した。

 またまつもと氏は談話で「インターネットを使えば,物理的・地理的な制約から解放される。これは松江市のような地方都市にとっても有利に働く可能性がある。ここには豊かな自然と恵まれた住環境がある。オープンソースに賭けてみようという熱意のある人々もたくさんいる。人々のパワーを集結することで,東京中心の地域格差をはねかえし,松江に独自のIT 文化を確立できることを期待している」との期待を語った。

◎関連資料
松江オープンソースラボ(松江市)