熊谷卓也社長(左)と泉谷章部長
熊谷卓也社長(左)と泉谷章部長
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 基幹系や携帯電話向けなどのソリューション開発を行うアイディーエス(東京都港区、熊谷卓也社長)は、独自開発した金融機関向けのワンタイムパスワードシステム「MITS OTP」の拡販に当たり、パートナー経由のチャネルを強化していくことを明らかにした。パスワードを表示する小型機器(トークン)を利用者に配布する方式ではなく、利用者の携帯電話をトークン代わりに使ってメールでパスワードを表示する。このため、手間やコストが大幅に削減ができる点が特徴だ。

 金融機関の場合、スパイウェアやフィッシングなどセキュリティの向上が重視されているが、数十万~数百万人の預金者にトークンを配布するとなると作業コストが増えるし、トークンの電池切れや紛失などもある。「当社のシステムは携帯メールを使ってワンタイムパスワードを表示する。具体的には、携帯ブラウザーのブックマークをクリックし、IDやパスワードが認証されると、登録された携帯メールでワンタイムパスワードを取得することができる。携帯メールは本人の携帯電話からしか読めないから、セキュリティレベルは非常に高い。しかも携帯電話は預金者の責任で管理するため、トークンを使う方式より手間がかからない」(熊谷社長)という。

 MITS OTPは2年前から一般企業の情報システム向けに販売しており、既にいくつか実績が出てきている。そこで今年3月に金融機関向けの機能を加えて、新しい分野を狙った。「販売ではパートナーとの協業がメインになる。他のソリューションベンダーと共同提案していくなど、積極的に市場開拓を推進していきたい」(ITソリューション営業部マーケティング部門の泉谷章部長)。初年度は、数行の金融機関に販売する方針で、数十万ユーザーの獲得を目指す。