調査によって、電子メールシステムに関してIT管理者が抱えている課題が判明したという
調査によって、電子メールシステムに関してIT管理者が抱えている課題が判明したという
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「Exchange 2007」では、スパムメールのフィルタリングを3段階に施す
「Exchange 2007」では、スパムメールのフィルタリングを3段階に施す
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「Outlook 2007」の新機能
「Outlook 2007」の新機能
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Webブラウザーで、PowerPoint形式の添付ファイルを開いたところ。パソコンに「PowerPoint」がインストールされていなくても、内容を確認できる
Webブラウザーで、PowerPoint形式の添付ファイルを開いたところ。パソコンに「PowerPoint」がインストールされていなくても、内容を確認できる
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Exchange 2007での、IOPS(1秒当たりのディスクI/Oの量)の測定結果。「Exchange 2003」と比較して約70%削減
Exchange 2007での、IOPS(1秒当たりのディスクI/Oの量)の測定結果。「Exchange 2003」と比較して約70%削減
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 マイクロソフトは2006年7月28日、次期Office「the 2007 Office system」のうち、電子メールなどによるメッセージのやり取りを担当する「Exchange Server 2007」(以下、Exchange 2007)と「Outlook 2007」のプレス向け説明会を開催した。電子メールシステムについて、IT管理者が抱えている課題は「セキュリティ/コンプライアンス」「管理性」「生産性向上」の3つだと説明。それぞれに関する新機能を紹介した。

 まずセキュリティに関しては、スパムメールやウイルスなどへの対策が強化された。例えばスパムメール対策では、3段階の多層フィルタリングを実行する。メールが送られてきたら、まずは受信禁止リストに登録されているドメインからのメールかどうかチェックし、該当するものをブロックする。次に、「SenderID」などを用いて送信者をチェック。最後にメールの内容を調査して、正当なメールであるか判断する。

 ウイルスについても、多層的な対策が可能だ。新機能である「ForeFront Security for Exchange Server」を利用すれば、複数のウイルス対策エンジンを同時に使用できる。「ウイルス対策エンジンはそれぞれ得意な分野が異なるため、より高度なセキュリティを確保するために複数のエンジンを使い分けているユーザーが多い」(同社のインフォメーションワーカービジネス本部 IWインフラストラクチャ製品グループの三野達也シニアプロダクトマネージャ)という状況に対応した。

 コンプライアンス機能としては、電子メールの運用ポリシーに基づいた、データ保管や送受信制御、監査といった機能を紹介。例えば、社外あてのメールにはCCやBCCで上司のアドレスを自動的に追加したり、ある条件に当てはまるメールを転送したりといった設定が可能だ。

 生産性向上の分野では、Outlookの新機能が紹介された。近々の予定や締め切りが迫った仕事を一覧表示する「ToDoバー」、RSSフィードの購読、高速な検索機能、添付ファイルのプレビュー機能などが代表的。またExchangeにおいては、チームのメンバー全員が空いている時間帯を選んで会議の時間を推奨する「スケジュールアシスタンス」の搭載、検索機能の高速化などが図られる。インデックスの作成速度は、従来製品の「Exchange 2003」と比較して35倍に向上するという。

 WebブラウザーからExchangeに接続してメールなどを閲覧できる「Outlook Web Access」も改良される。Webブラウザーで読んだメールに添付ファイルがある場合、それを開くためのアプリケーションがインストールされていないパソコンでも、中身を閲覧できるようになる。サーバー上でファイルを開いてレンダリングし、Webブラウザーにイメージを送ることで実現する。

 最後の管理性に関しては、ストレージ機能の向上が代表的。Exchange 2007からは、製品版は64ビット版しか提供しない(評価版のみ、32ビット版も用意する)。広いメモリー空間を扱えるようにし、キャッシュを増やしたことで、安定性や速度を向上させる。例えば、1秒間当たりに発生するディスクI/Oの量(IOPS)は、Exchange 2003と比較して約70%も削減できるという。

 Exchange 2007は、7月26日にベータ2版を公開したばかり。パートナー企業などとの共同検証を経て、2006年中には開発を完了する予定だ。