米Oracleは,インメモリー・データベース製品「Oracle TimesTen In-Memory Database Release 6.0」(以下「TimesTen」)の後継バージョンを2006年後半に出荷する。データ型やSQL命令などをOracle Database 10gの仕様に近づけた「オラクル・モード」を搭載する点が特徴だ。
TimesTenは,データをメモリー上に保持して稼働するRDBMS。メモリー上に置かれたデータの取り扱いに最適化したアルゴリズムやデータ配置を採用するため,ディスク・ベースのRDBMSよりも高速な動作が可能だ。「Oracle Database 10gのレスポンス時間はミリ秒単位だが,TimesTenはマイクロ秒単位」(米Oracleで組み込みデータベースの製品開発担当を勤める副社長のMarie-Anne Neimat氏)である。この性能の高さを生かし,アプリケーション・サーバー上にTimesTenを配置し,バックエンドのOracle Databaseのデータをキャッシュしてアクセスを高速化させることが多い。
TimesTenに対してはODBC/JDBC/SQL-92などを通じて通常のRDBMSと同様にアクセスできるが,Oracle Databaseとは細かな点で違いがあった。このため,ユーザー企業がOracle Databaseの高速化のためにTimesTenを導入しようとしても,アプリケーションを書き換えたり,データ型の違いを吸収するためにテーブル設計を見直したりする手間がかかった。新版では,こうした手間を削減する。
具体的には,Oracle Databaseと同様に振る舞う「オラクル・モード」を追加し,従来の「TimesTenモード」と切り替えて使用できるようにする。「オラクル・モードでは,Oracle Databaseと同等のNumber型を追加するほか,Char型における空白文字のハンドリングなど微妙な違いを解消する。SQL命令も大幅に追加し,Oracle Databaseとの互換性をいっそう高める」(Neimat氏)。