2006年4~6月の国内パソコン出荷実績(JEITAの資料を基に日経パソコン誌作成:以下同じ)
2006年4~6月の国内パソコン出荷実績(JEITAの資料を基に日経パソコン誌作成:以下同じ)
[画像のクリックで拡大表示]
国内パソコン出荷台数の推移。12四半期続いた対前年同期比増が途切れた
国内パソコン出荷台数の推移。12四半期続いた対前年同期比増が途切れた
[画像のクリックで拡大表示]
平均単価の推移。地デジ対応テレパソや大画面液晶搭載モデルが奏功し、ここ1年ほど持ち直す傾向にある
平均単価の推移。地デジ対応テレパソや大画面液晶搭載モデルが奏功し、ここ1年ほど持ち直す傾向にある
[画像のクリックで拡大表示]
JEITAの山本氏。「下落は一時的。必ずしも消費マインドが低下したわけではなく、下半期に向け需要増を期待できる」と強調した
JEITAの山本氏。「下落は一時的。必ずしも消費マインドが低下したわけではなく、下半期に向け需要増を期待できる」と強調した
[画像のクリックで拡大表示]

 電子情報技術産業協会(JEITA)は2006年7月27日、2006年4~6月の国内パソコン出荷統計を発表した。出荷台数は対前年同期比3%減の296万5000台、出荷金額は同5%減の3819億円となった。これまで12四半期連続で続いていた台数ベースの成長は止まり、3年ぶりにマイナスに転じた。とはいえ、家庭向けでは夏モデルの大幅な苦戦が明らかになっていただけに、法人向けの踏ん張りによって下げ幅を最小限にとどめたといえる(PC Online 関連記事発表資料)。

 JEITAの分析では家庭向けの不振の要因として、サッカー・ワールドカップ商戦における薄型テレビとの競合のほかに、(1)4月末から5月初頭の大型連休で多くの企業が長期間休業したため海外旅行者が大幅に増加して支出が旅行費用に振り向けられたこと、(2)ゼロ金利政策の解除を前に住宅ローンの金利上昇を嫌った消費者が繰り上げ返済や借り換えに動いた--といった消費の分散を挙げている。法人向けが堅調に推移した背景には、中小企業の設備投資意欲の高まりがあるとしている。

 平均単価は、対前年同期比ではデスクトップパソコン、ノートパソコンともに減少したものの、対前期(2006年1~3月)比ではいずれも上昇に転じている。これについては、37型など大画面液晶を採用した高価格機が平均単価の押し上げに貢献したこと、地上デジタル放送のチューナーを内蔵した機種が増加したこと、メインメモリーの容量が増えたことなどを要因として挙げている。夏商戦においては、一部の大手メーカーが家庭向けノートパソコンを12万円近くまで大幅に値下げするなど激しい販売競争が繰り広げられたが、これについては、「ノートパソコン全体の平均価格としては上昇しており、影響は見られない。また第4四半期(2007年1~3月)にはWindows Vistaによる需要の喚起も期待でき、今回の値下げ競争により需要を先食いしたとは考えていない」(JEITA パーソナルコンピュータ事業委員会 委員長の山本正己氏)と結論付けた。

モバイルノート型が不調、Winny騒動の余波か

 種類別に見ると、「モバイルノート型」(重さ2kg以下、もしくはB5ファイルサイズ以下)の出荷台数が対前年同期比11%減、出荷金額が同8%減と目立って減少傾向にある。これについては「モバイルノート型の主要顧客は法人が多く、大きな商談がなかった。これは私見だが、Winnyを狙ったウイルスによる情報漏えいが社会問題となり、パソコンの持ち出しに企業が敏感になったことも背景にあるかもしれない」(JEITA パーソナルコンピュータ事業委員会 幹事長の澤野明郎氏)としている。

 今後の見通しについては「景況感は引き続き回復傾向にあることから、今回の下落はあくまで一時的な要因と考えている」(JEITAの山本氏)として、2006年度通期の国内出荷台数を対前年同期比5%増とする期初予測を変更する考えのないことを明らかにした。