アイピーモバイルは7月28日,当初2006年10月に予定していたTD-CDMA方式による携帯事業への参入時期を,2007年春に延期すると発表した。その理由は,「より高速なデータ通信サービスを提供するために,基地局などのシステムに変更を加える必要が生じた」(アイピーモバイル)と説明する。これまでは下り最大5.2Mビット/秒,上り最大848kビット/秒の5MHzの帯域幅を使うシステムを計画していたが,下り最大11Mビット/秒,上り最大1.7Mビット/秒の10MHzの帯域幅を使うシステムへと変更する。既に設置済みの基地局については,ソフトウエアの更新によって対応できるという。

 同時に40億5000万円の増資を実施したことも明らかにした。これにより,資本金と事業準備金の合計は53億7500万円となり,「サービス開始に向けた資金のメドはついた」(アイピーモバイル)としている。同社は東京23区の一部からサービスを始める予定だ。また端末のベンダー選定についても,「ベンダー名は明らかにできないが既に決定済み」(同)という。

 経営体制を強化するために,新たに執行役員制度も導入する。経営機能を司る取締役と業務執行機能を担う執行役員とに役割を分離し,責任の所在を明確にする。これに伴って,現取締役の丸山孝一氏は執行役員常務へ,同じく現取締役の竹内一斉氏,竹内大志氏は執行役員へと異動する。取締役としては,新たに,インターネットイニシアティブの時田一広取締役,CSK-ISの加藤隆哉取締役副社長,リヴァンプの浜田宏代表パートナー,マルチメディア総合研究所の森生明取締役を迎える。

 なお企業再生会社であるリヴァンプとは新たに業務提携を結び,経営支援や実務面でのアドバイスを受ける予定だという。