NECの矢野薫社長(左)と松下電器産業の大坪文雄社長(右)
NECの矢野薫社長(左)と松下電器産業の大坪文雄社長(右)
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 NECと松下電器産業、パナソニック モバイルコミュニケーションズの3社は7月27日、携帯電話端末を受託開発する合弁会社を10月上旬に設立すると発表した。新会社は主に、NECと松下の携帯電話で使うソフトおよびハードのプラットフォーム開発を手がける。開発投資の重複を避けてコストを削減し、携帯電話の高機能化が進むなかで求められる開発力を強化することが狙いだ。

 NECとパナソニック モバイルは、携帯端末のプラットフォームは共通化するものの、携帯電話のブランドとして「NEC」と「Panasonic」をそのまま残す。各社端末の資材調達や製造、販売なども、それぞれ個別に進める。アプリケーションなどにより、製品の差異化を図る計画だ。

 NECの矢野薫社長(写真左)はこの点について、「携帯電話は、人とユビキタス・ネットワークの接点になるもの。当社のコンピュータ・通信の技術を生かして製品を作っていく」と語る。一方、松下電器産業の大坪文雄社長(写真右)は、「プラットフォームの開発を外部に任せることで、社内の開発リソースに余裕ができる。家電との連携機能を強化するなど、自社の関係部署とも協業しやすくなる」と話す。

 新会社の社名は未定。出資総額は1億円で、NECとパナソニック モバイルが50%ずつ出資する。従業員は約140人で、設立時の社長はNECから、副社長はパナソニック モバイルから派遣する。3社はすでに2001年8月から携帯電話事業で協業しているが、新会社設立でさらに関係強化を図る。

 また同日、NECとNECエレクトロニクス、松下電器産業、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、テキサス・インスツルメンツ(TI)の5社は、第3世代以降をターゲットにした携帯電話向けLSIの基本回路設計や制御ソフトウエアの開発などを手がける合弁会社を今年8月中に設立すると発表した。

 新会社の社名はアドコアテック。出資金額は120億円で、NECとNECエレクトロニクスが約44%、松下電器とパナソニック モバイルが約44%、TIが約12%を出資する。従業員は約180人で、設立時の社長はパナソニック モバイルから、副社長はNECから派遣する。