NECの矢野薫執行役員社長(左)と松下電器産業の大坪文雄社長
NECの矢野薫執行役員社長(左)と松下電器産業の大坪文雄社長
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 既報の通り,NECと松下電器産業,パナソニック モバイルコミュニケーションズの3社は7月27日,携帯電話端末の受託開発を行う合弁会社を10月に設立すると発表した(関連記事)。

 同時に,NECとNECエレクトロニクス,松下電器産業,パナソニック モバイル,テキサス・インスツルメンツ(TI)の5社は,8月中に第3世代(3G)携帯電話以降の通信プラットフォームの開発会社を設立すると発表した。

 5社が設立する新会社の名称は「アドコアテック」。神奈川県横須賀市の横須賀リサーチパークに本社を置く。従業員は180人。資本金は60億円,資本準備金が60億円。出資比率はNECとNECエレが44%,松下とパナソニック モバイルが44%,TIが12%。社長は未定だがパナソニック モバイルから出す予定。

 5社は現在のW-CDMAの発展型である「3.5G」や「3.9G」と呼ばれる次世代携帯電話技術を開発する。3Gが日本ほど普及していない海外向けには,GSMなどの2G/2.5Gと3Gのデュアルチップも開発する。この際,TIの技術を活用する。これらの技術開発を通して,2008年にW-CDMAプラットフォームの販売で世界シェア20%以上を目標にするという。

開発の「共通部分は多い」

 今回の3社による合弁会社および5社による合弁会社設立を通して,2001年8月に始まったNECとパナソニック モバイルの携帯電話事業の協業関係はより緊密となる。

 両社は商品企画や製造,販売はそれぞれ独自に行い,「一部のアプリケーションやデザインについてはそれぞれのメーカー色を出せる」(NECの矢野薫執行役員社長)とする。しかし一方で「比較的共通部分は多い」(同)。

 3社の合弁会社が担当する部分はCPUを含めたハードウエアとミドルウエアおよび一部のアプリケーションの開発。端末開発のかなりの部分を共通化すると見られる。2つの合弁会社の設立により,「開発効率化で生み出されたリソースを差異化技術に投入したい」(松下電器の大坪文雄社長)としている。


3社は合弁会社設立で開発の効率化を狙う
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3社が設立する合弁会社の事業内容
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3社の合弁会社は共通プラットフォームの実現を目指す
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W-CDMAの市場環境
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5社の合弁会社の設立目的と業務内容
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5社協業の全体像
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