独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は7月27日、約1億9000万円の資金を投じて全国4自治体で実施した、主としてLinuxのデスクトップ環境におけるオープンソースソフトウエア(OSS)活用の実証実験の結果を発表した。

 実証実験は、2005年11月10日から2006年6月30日まで行われ、札幌市、栃木県二宮町、大分県津久見市、沖縄県浦添市の4自治体が参加した。のべ400人の職員が実証実験に参加した計算になる。なお実験内容や結果が詳細に記述された報告書「2005年度 『自治体におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての導入実証』成果」は、IPAのWebサイトで閲覧できる(報告書はこちら)。

 IPAでは、実証実験の成果として、(1)基本ソフト、ワープロ、表計算、Webブラウザなどの基本アプリケーションが自治体での実用に耐えうることが実証された、(2)地元企業による自治体へのサポートは十分に機能した、などの点を挙げている。一方課題としては、(1)データ移行の際に禁則処理や均等割付などがうまく機能しない、(2)Windows環境なら不要な運用管理ソフトが必要となる、などの点を指摘している。

 肝心のコスト面では、複数のOSSを一元的に管理するための運用管理ソフトの代金が必要になるものの、Windows関連ソフトのライセンス料金が不要になるので、ソフトウエアに関するコストは下がると結論付けている。例えば、栃木県二宮町では、町役場と出先機関で働くほぼ全職員に対して、合計139台のOSSを組み込んだパソコンを導入したところ、ソフト代金は170万円程度減少した。

 IPAでは、残る課題の克服を目的に、引き続き実証実験を続けていく。現在、2006年度の実証実験に参加する自治体を募集している(募集要項はこちら)。締め切りは8月31日で、9月下旬には参加自治体を決定する予定である。