米NovellのSUSE担当CTOであるMarkus Rex氏
米NovellのSUSE担当CTOであるMarkus Rex氏
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 SUSE Linux Enterprise 10は,ノベルが2006年7月19日に出荷した米Novellの最新Linux OSである。従来版と比べるとアクセス権限管理が容易になったほか,サポート料金を分かりやすく整理するなど,より企業向けの色を強く打ち出している。米NovellでSUSE Linux事業のCTO(最高技術責任者)を務めるMarkus Rex氏は2006年7月26日,記者会見を開き,SUSE Linuxの市場性について説明した。

---Markus Rex氏: 技術の提供とコスト削減の両面でユーザー企業の情報システム部門を手伝っていきたい。私がSUSE Linuxのエンジニアリング部門を初めて担当したのは7年前に遡る。それ以後,企業で使われるLinuxを目指し,メインフレームやItanium2など,x86系以外のプラットフォームで動作するバージョンを開発してきた。現在では7つのプラットフォームで動作するまでになった。製品のライフ・サイクルも,従来は2年間だったものを7年間へと引き伸ばした。

 米IDCの調査では,2004年と比較した2005年の成長率は,Linux全体で60%に達する。このうち,Red HatがLinux全体を下回る48%しか成長できていないのに対して,SUSEは126%の成長を実現した。もっとも,SUSEは米Novellに買収されたことによる販売体制の強化が2005年の高成長へとつながった。Novellの効果は大きく,現在のパートナ企業は5500社に上る。販社とSIベンダーなどのソリューション提供業者が3200社,プロバイダなどの技術パートナが1326社,教育事業者が900社だ。

 企業で使われることを特に意識している。OSのパッチは頻ぱんにリリースする小パッチと,一定量の小パッチのリリースが溜まったタイミングでまとめてリリースする大パッチ(ノベルはこれをサービス・パックと呼ぶ)とがある。緊急度や影響に応じて既存のOS環境にパッチを当てるかどうかを計画できる。ただし,パッチのリリース時期には定まったスケジュールがあるわけではない。

 企業へ的確なサポートを提供するためには,サポートする前提として,OSを詳しく知っていなければならない。このため,Linux関連の開発プロジェクトのうち,カーネルやコンパイラはもとより,SambaやOpenOffice.orgといった個々のアプリケーションなど,重要な開発プロジェクトには必ず最低でも1人の社員を参加させるようにしている。アクセス権限管理のAppArmorは米Novellが一押しで推進するプロジェクトだが,このソフトはSELinuxと比べて設定が容易であるため,ユーザー企業のシステム管理負担をより軽減できるものと考えている。