7月25日開始になった「Last.fm」。英国では200万人以上の登録ユーザーを抱える音楽をベースにしたソーシャルネットワーキングサイト(SNS)だ
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自分の音楽の嗜好をベースに、似た嗜好を持つユーザーを探すことができる。さらに、嗜好が近いユーザーが聞いている楽曲を見ることで新たにアーティストを発見できることも
自分の音楽の嗜好をベースに、似た嗜好を持つユーザーを探すことができる。さらに、嗜好が近いユーザーが聞いている楽曲を見ることで新たにアーティストを発見できることも
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どの楽曲がいま最も聞かれているのかが分かるランキングデータも面白い
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 エキサイトは2006年7月25日、英国のラストエフエム(Last.fm)と業務提携し、音楽の嗜好をもとにコミュニケーションを図るSNS(ソーシャルネットワーキングサイト)「Last.fm」の日本語版サービスを開始した。英国版Last.fmは2003年に運営を開始し、2005年に現在の機能が完成。現在では200万人以上の登録ユーザーと、月間850万人以上のアクセスユーザーを抱えるサイトに成長している。

 Last.fmのサービスの一番の特長は、これまで知らなかった好みの音楽と出会えること。自分が好みだと思う音楽を聞いているほかのユーザーが聞く音楽は、自分にとっても好ましい音楽だとする嗜好型のマッチングをベースにしている。この「音楽の好み」を、自分の自己紹介として使えるような機能も提供している。

 音楽の好みを収集する方法はこうだ。登録してダウンロードできる無料のプラグインソフトを自分のパソコンにインストールすると、「iTunes」や「Windows Media Player」といった音楽再生ソフトで再生した楽曲の情報が、Last.fmのデータベースに自動送信されるようになる。この仕組みをLast.fmでは、「Scrobble(スクロブル)」と呼んでいて、これによって、自分の「ミュージック・プロフィール」が作られていく。具体的には、自分のページに、「最近聴いたトラック」や、よく聞いている曲やアーティストのランキングが表示される。ちょっと再生しただけではカウントされず、楽曲の半分以上の時間聞くことでScrobbleの対象になる。何回も聞いている曲は好きな曲だと判断され、こうしたミュージック・プロフィールの傾向をもとに、似た傾向の音楽を聞くユーザーを、音楽のセンスが近い「ご近所さん」として表示する仕組みになっている。さらに、ユーザー同士がメッセージを送ったり、グループを作るなどのSNS機能が、同じ嗜好を持つユーザー間の交流を深めてくれる。

 Scrobbleを基に作られるのは、ランキングなどのチャートだけではない。アーティストのページも作られ、ユーザーが解説などを書き込める。さまざまなキーワードやジャンルに関連付けできる「タグ」機能もある。近い音楽傾向だとされるアーティストは「同種のアーティスト」として表示され、新たな音楽と出会える仕組みになっている。

 英国版Last.fmの大きな魅力は、楽曲を試聴できる「ラジオステーション」。提携しているレーベルや、許諾済み、著作権フリーの曲をあわせると、100万曲近くの楽曲を無料で聞くことができる。しかも、再生中の曲に対して、好き「LOVE」、飛ばす「SKIP」(今は聞かない)、はじく「BAN」(2度と聞かない)という3種類の判断ができ、これらは蓄積され、お薦めの精度にも反映されていく。今回、エキサイトが開始した日本語版Last.fmには、開始当初はこのラジオステーション機能を搭載していない。この秋に開始する予定としているが、どれだけのレーベル会社と契約できるかは未知数だ。

 日本の登録ユーザーのデータは、英国版のデータベースに追加されていく仕組みになっている。エキサイトが担当するのは、日本国内での各種の契約業務、プロモーション、サイト運営のサポートなど。このサービスを軸とした独自展開も考えているという。エキサイトには、すでにエキサイト・ミュージックという音楽関連情報ページがあるが、そちらは自前のメディアとして位置づけ、ユーザー参加型のLast.fmとは、当分すみわけていくとしている。