チャリティ・サポーターを務めるモデルの菊池亜希子さんが,ネットで購入したという地球儀を披露した。
チャリティ・サポーターを務めるモデルの菊池亜希子さんが,ネットで購入したという地球儀を披露した。
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小学館の女性雑誌を統合するポータルサイト「FAnet」。この中にチャリティ用のアフィリエイト・サイトを開設する
小学館の女性雑誌を統合するポータルサイト「FAnet」。この中にチャリティ用のアフィリエイト・サイトを開設する
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 アフィリエイト広告大手のリンクシェア・ジャパンと小学館は共同で,8月15日からチャリティ・サイトの運営を開始する。小学館の女性誌ポータル「FAnet(ファネット)」上にECサイトのバナーを並べたアフィリエイト専用サイトを設け,ここを入口として商品が購入された場合,小学館は得られた報酬を全額,環境保護団体のWWFに寄付する。同時にリンクシェアは,提携している16万のアフィリエイト・サイトの運営者(パートナー)に,報酬を寄付金として提供するように呼びかけていく。

 FAnetは「PS」「Can Cam」「Oggi」などの小学館の女性雑誌を統合するポータルサイト。月間アクセス数は480万PVでユーザー数は10万1000人。ユーザーの94%が20代~30代の女性で,ファッション,美容,料理,イベントなどの情報を掲載している。雑誌モデルが交替で登場する「モデル'sブログ~きれいの秘密」などが人気だ。

 今回,FAnetの中にチャリティ用のアフィリエイト・サイトを開設し,トップページや,各雑誌の商品紹介ページなどに,パンダをあしらった専用の告知バナーをたくさん配置して集客を図る。「メディアの発信力を生かした一つの社会貢献モデルにしたい」と,同社執行役員兼ゼネラル・マネージャーの岩本敏氏は話す。

 「PS」のモデルでエッセイストでもある菊池亜希子さんがチャリティ・サポーターとしてこのサイトのPRに協力する。「大好きなネットショッピングをするだけで社会によいことができるなんて素晴らしいと思います」と語り,実際にネットで購入したという地球儀を記者会見場で披露した。

 リンクシェア・ジャパンは2005年1月に,三井物産と米リンクシェアが折半出資で設立したアフィリエイト広告会社。現在,260社のECサイト,16万のアフィリエイト・サイトを組織化しており,後者は今も毎月7000件ずつ増えている。「提携するアフィリエイト・サイトの半数がブログ。参加する動機が単なる『報酬』ではなく,『共感』すなわち自分の好きな商品をより多くの人に紹介したいという思いを持った人が増えている」と,花崎茂晴社長は現状を語る。

 例えば音楽配信ダウンロードサイトのiTuneのアフィリエイトでは,熱烈なビートルズ・ファンが作ったブログサイトが人気を集めているという。ある商品が提供する価値観に共感する人がブログでその商品を紹介し,そこに同じ価値観を持った人が集まってくるという構図がより鮮明になってきた。実際,ECサイトはアフィリエイト広告の費用対効果の高さに注目し始めており,2005年度の市場規模は314億円,ネット広告全体の10%を占めるまでになった。

 今回のチャリティ・サイトのスキームには,リンクシェア・ジャパンと提携する260社のECサイトのうち,80社が参画する。結局のところ,環境団体にどれだけの寄付金が集まるのだろうか。

 リンクシェア・ジャパンによると,個人のアフィリエイト・サイト(全体の9割)に支払っている報酬総額は毎月約6000万円。報酬が数百円ほどの個人パートナーが圧倒的に多いのである。「仮に個人パートナー全体の1%が報酬を提供してくれたとして月間数十万円の寄付が集まるのではないか」と花崎社長は予想する。一方で花崎社長は,アフィリエイト報酬を寄付に還元するという同社のスキームに共感し,パンダの告知バナーを置きたいと思う人が,新たにパートナーとして登録してくれることを期待している。