「結論を非常に心配していたが,幸いにして,そうした当初の議論と全く違う結論が出てきた。民放事業者を激励するような格好の結論になった」――。日本民間放送連盟の広瀬道貞会長は2007年7月20日の定例会見で政府の通信・放送改革に関してコメントを求められると,勝利宣言ともとれる感想を述べた。

 心配していた「当初の議論」とは,放送事業の枠組みをハード(放送インフラ部門)とソフト(番組制作部門)に分離するという「ハード・ソフト分理論」のことである。通信・放送の融合時代に適合した法体系を整備する一環として,内閣府の「規制改革・民間開放推進会議」で議論され,その後総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」に引き継がれた。

 これに対して民放事業者はハード,つまり電波を召し上げられるのではないかと大いに懸念した。ところがフタを開けてみれば,現在の地上波放送事業の枠組みを将来にわたり堅持することが確認されることになったわけだ(詳細は日経ニューメディア2006年7月24日号に掲載)。