ユニアデックス(東京都江東区、高橋勉社長)が、地方銀行や信用金庫といった地域金融機関向けに展開する「リレーションシップバンキング支援事業」が順調な立ち上がりを見せている。2006年に入って事業を本格開始して以来、3月14日に千葉銀行、7月5日には第四銀行との提携を発表。この事業の先行事例となった湘南信用金庫と朝日信用金庫も加えると実績は4行になった。その後も全国の金融機関から引き合いが相次いでおり、導入を検討中の金融機関は全国で20機関程度になるという。

 リレーションシップバンキング支援事業とは、金融庁が2003年3月に発表した「リレーションシップバンキング構想」の実現に向け、地元企業向けの支援メニューを拡充しつつある地域金融機関を、IT面から支援するもの。金融庁はこの構想で、地域金融機関に対し、地元中小企業との緊密な関係の維持や企業再生支援、地域経済の活性化に向けた具体的な行動計画策定と実行を義務づけている。これを受けて、地域金融機関が地元企業向けのIT相談窓口の設置や、ビジネスマッチングプログラム、経営相談、セキュリティ相談など、様々な支援メニューをそろえつつある。

 ユニアデックスのリレバン支援の最大の特徴は、全国のITコーディネータ(ITC)を活用することである。全国から集めた約30人の「熟練ITC」が、ユニアデックスの提携先金融機関の融資先に対し、IT関連のコンサルティングを行う。遠隔地からもコンサルティングが行えるよう、Webテレビ会議システムも活用する。北島英次東日本統括本部長は、「ITCと連携することで、低価格でコンサルティングサービスを提供できる。すでに3人のITCにプロジェクトに参加してもらっている」と説明する。

 一方、ユニアデックスのメリットは2つある。短期的には、提携銀行からIT相談窓口業務のアウトソーソングのほか、ビジネスマッチングなどの支援サービスに必要なシステムなどを受注できること。中長期的には、ITCがコンサルティングした結果、必要と判断した場合には、融資先企業へのシステム提供も担当する。北島統括本部長は、「金融機関のIT相談窓口に来る相談内容は、結構急ぎのものが多いと分かった。既にシステム構築実績も出ている。ITC自らサービスを提供することは難しく、全国に200以上のサービス拠点を持つユニアデックスの強みが生きる」と、“顧客の顧客”からの手応えを話す。