中古車買い取りチェーンを展開するガリバーインターナショナルが社員研修に力を入れ始めた。
同社では、2009年までに直販店の比率が上昇。現在、直販店と加盟店合わせて約500店舗あるが、2009年までに直営店を278店舗から350店に急増させる代わりに、加盟店は217店から150店まで減らす。
このため、今後3年間で直営店を運営する70人の店長を育成しなければならない。しかし、創業12年目で社員の平均年齢が29.1才と若く、「代々引き継げるノウハウがない。これから作っていかなくなくてはならない」と村田育生専務は課題を話す。そこで、早期の育成を目指して研修の強化に着手した。
村田専務は、これまでのような座学中心の研修方法に疑問を感じていた。「毎回同じような内容では飽きてしまい、研修効果が薄れてしまう」からだ。ありきたりな研修ではなく、社員に驚きをもってもらえるように研修内容を変えた。特に、役員やチームリーダーなど70人を対象に、年に数回実施している幹部研修に工夫を凝らしている。座学に加えて、野外活動など様々なプログラムを用意。チームでテントを張ったり、シミュレーションゲームで工場長役になって生産効率を向上させるといった普段の業務とは異なる内容を取り入れている。この研修を通して、メンバーをまとめたり、課題をこなすうえでの助け合いの精神やリーダーシップを養うのが狙い。
例えば、シミュレーションゲームでは、生産性向上を目指すには時間配分や作業方法などをどう工夫すればよいのかをメンバーで話し合ってまとめていく。時間制限が設けられているなかで、いかに議論を一本化させるのかといったことを通じてリーダーの素質を養う。
屋外の研修でも。リーダーシップを養えるよう工夫している。まず、テントを張る際にポールを立てるメンバーに目隠しをする。周囲が全く見えなくなるため、だんだん不安になってくる。そこでリーダーが「きちんと役割を果たしている」「大丈夫」といった声をかけて不安感をぬぐう。こうした取り組みを通じて、普段の業務にも役立つ気づきの能力を養う。野外研修はインパクトジャパン(渋谷区)が提供するプログラムを採用した。
このほか、7月には2000人の全社員に対して、経営理念やビジョンをまとめた冊子「ガリバーイズム」を発行した。幹部だけでなく、全社員が同じ価値観を共有するためだ。
この冊子は、同社で働くうえでの価値基準を文章化したもの。これまで「常に挑戦を忘れず」など5カ条の経営理念があったが、「常に情熱を忘れず」など12カ条に増やした。まず、研修に参加した70人に配布して、朝礼などで現場の担当者らと読み合わせなどを行っている。「組織が大きくなってくると価値観がバラバラになりかねない。冊子を活用して、同じ価値観で仕事をしていきたい」(村田専務)と話す。