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 「SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づくシステム導入を成功させるカギは技術ではない。規律だ」。米ガートナーでバイスプレジデント兼ディスティングイッシュド アナリストを務めるイェフィム・ナティス氏(写真)はこう語る。同氏は1996年に米ガートナーのアナリスト、ロイ・シュルテ氏と共同でSOAという概念を発表した、SOAの“生みの親”である。

 「規律こそ重要」と語る前提としてナティス氏には、SOAに基づくシステムは段階的に導入するべきという考えがある。企業システム全体を、導入企業のアーキテクトが描いた理想像に徐々に近づけていく。その過程では、理想像にそぐわないシステムの構築・改変を排除する強制力が必要になる。その強制力がナティス氏のいう規律だ。

 ナティス氏は規律の例として、「意味が異なるのに同じ名称がついたデータ項目を増やさない」、「サービスを改変する権限を統制する」、といったものを挙げる。「こうした規律がなければ、単にESB(エンタープライズ・サービス・バス)製品を導入しただけで終わり、といった事態に陥る。SOAの本当の目的であるビジネスの俊敏性・柔軟性の向上に結びつかない」(ナティス氏)。(矢口 竜太郎=日経コンピュータ)