ブルーコートシステムズ社長の河田英典氏
ブルーコートシステムズ社長の河田英典氏
[画像のクリックで拡大表示]

 プロキシ・サーバー大手の米Blue Coat Systemsは2006年6月23日,ストレージ大手の米Network Applianceからプロキシ・サーバー「NetCache」を買収することを発表した。買収金額は米Blue Coat Systemsにおける発行済株式の2%に相当する36万株と現金2390万ドル。日本法人であるブルーコートシステムズ社長の河田英典氏は2006年7月20日,NetCache買収のメリットを「顧客層を広げられる」と説明した。

 米Blue Coat Systemsの主力製品であるProxy SGは,遠隔アクセスのセキュリティと高速化にフォーカスしたアプリケーション・ゲートウエイ装置である。旧社名の米CacheFlow時代に,インターネット上に分散する各種Webサイトに対するWebアクセスをキャッシュして高速化するキャッシュ用プロキシ・サーバー「CacheFlow」を出荷して事業をスタートさせた。プロキシ(アプリケーション・ゲートウエイ)という高レイヤーによる細かなアクセス制御に強みがある。2006年4月に出荷したOS「MACH5」では,帯域制御機能とWAN高速化機能を実装した。

 一方,米Network Applianceはストレージ・ベンダーであり,今後はストレージ事業へフォーカスする旨を表明済み。ストレージ製品ではないNetCacheを米Blue Coat Systemsが買い取ったことになる。NetCacheは巨大Webサイトなどを運営するコンテンツ配信側の事業者がリバース・プロキシ用途で導入するキャッシュ・サーバーであり,米Blue Coat Systemsの顧客とは直接は競合しない。大まかに言えば,Webアクセスを高速化するProxy SGと,コンテンツを高速に配信するNetCacheという住み分けである。河田英典日本法人社長は「新たな顧客層を得られた」と評価し,今後もNetCache製品の開発投資を継続していくことを明言した。

 同社はまた,2006年4月に出荷した新OS「MACH5」が備えるWAN高速化機能の意義を,「プロキシだからこそ細かいアクセス制御が可能であり,細かい制御によって高速化の効率が高まる」(同社の小林岳夫氏)と,プロキシとWAN高速化の相性の良さを説明。MACH5によるWAN高速化は,(1)ファイルなどオブジェクト単位でのキャッシュのほか,本社と支店など対向型で使うことを前提に,(2)送信済みの重複データのポインタを管理することによるキャッシュと差分転送,(3)gzipデータ圧縮,(4)帯域制御,(5)遅延を考慮したTCP通信の高速化---といった手法を重ね合わせるものである。

 MACH5ではSSL(Secure Sockets Layer)通信をプロキシによってインターセプトする機能も備えるが,「SSL通信の中身を検閲できることは,セキュリティ上の意味に加え,SSL通信の高速化にもつながる」と,プロキシ型の機能同士が連携することの強みを強調する。インターネット経由で業務アプリケーションを利用する機会が増えるにつれ,SSL通信の検閲と高速化の需要が高まるとしている。