写真1 NTTやBT,総務省やOfcomなどが参加したパネルディスカッション
写真1 NTTやBT,総務省やOfcomなどが参加したパネルディスカッション
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 総務省と英貿易産業省は7月19日,次世代ネットワーク(NGN)に関するシンポジウムを開催した。その中で,NTTやKDDI,英BT,総務省,英情報通信庁(Ofcom)など,日英の通信事業者と規制当局の担当者が一同に会したパネルディスカッションが実現した(写真1)。

 パネルディスカッションの主なテーマはNGN時代の競争政策などについて。NTTからは有馬彰取締役中期経営戦略推進担当,総務省からは総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課の谷脇康彦課長が参加した。

 甲南大学の佐藤治正経済学部教授がモデレータを務め,「NGNで何が変わるのか」,「NTTとBTのNGNの違いは」といった質問からパネルディスカッションは始まった。しかし「NTTは光ファイバの開放義務があり,コスト割れといいながら,NGN構築と共に光ファイバの投資も続けるのはなぜか」という,聴衆から事前に募集した質問を佐藤教授が投げかけると場面は一気に緊迫した。

 NTTの有馬取締役はこの質問に対して「今まで何度も聞かれてきたし,海外の人にはクレージーだと言われることもある。確かに現状の光ファイバ接続料はコスト割れなので,光ファイバの設備を維持できるコスト回収の仕組みが必要だ。投資家に納得してもらえない投資は企業としてできない」と従来の主張をした。これに対し総務省の谷脇課長は「開放義務は設備の不可欠性に起因するもの。ただ,設備を開放して接続料でフェア・リターンを求めるのは当然の話なので,『赤字で開放しろ』と我々から要望するのは合理的でないと思う。だからコストベースとは何か,フェア・リターンとは何かという点で,当事者であるNTTの主張を踏まえて,十分な説明がなされているかどうかの観点から審査する」と切り返した。

 パネルディスカッションの前には,NTTやKDDI,BTがそれぞれのNGN構想について講演。総務省や英貿易産業省,Ofcomは,NGN移行に伴う政策課題についてプレゼンテーションした。