電通国際情報サービスは7月19日,三菱東京UFJ銀行のリスク管理システムにオープンソースのJavaフレームワーク「Seasar2」が採用されたと発表した。Sesasr2は電通国際情報サービスの技術者である比嘉康夫氏が中心になって開発している。

 三菱東京UFJ銀行のリスク管理システムは2007年度から順次本番稼動する予定。日本ヒューレット・パッカードのHP ProLiant BL20pを52台連携させたブレード・サーバーを使用する。OSはRed Hat Enterprise Linux ES4。システム・インテグレーションはUFJISが行い,電通国際情報サービスはシステム開発を担当する。

 リスク管理システムは,為替などの取引のリスクを計算するシステム。現在のリスク管理システムは大部分がCで記述されており,これを順次J2EEに置き換えていく。新規開発部分はSeasar2を基盤にする。

 電通国際情報サービスでは,Seasar2の商用サポートを提供しており,パッケージなどほかの案件でもSesasar2を採用しているが「電通国際情報サービスでSesasr2を採用した案件としては最大」(電通国際情報サービス 金融ソリューション事業部リスク管理ソリューショングループ)という。Seasar2関連ソフトウエアとしてはDAO(データベース・アクセス・オブジェクト)のS2Dao,Strutsと連携させるためのS2Strutsも使用している。

 Seasar2の採用は,UFJISが意思決定した。「信頼性のあるAOP(アスペクト指向プログラミング),DAOが必要だった」(UFJIS)ことが理由だった。S2Daoはインタフェースにアノテーションを書けば自動生成される。設定ファイルや実装クラスを記述する必要はない。この仕組みはSeasar2のAOP機能により実現されている。この特徴により,「『コーディング量が減った』というのが実際に開発している技術者の感想」(電通国際情報サービス Seasar2推進グループ統括マネージャー 比嘉康夫氏)。

 電通国際情報サービスは独自のJ2EEフレームワークも開発しているが,同社では「今後はオープンソース・ソフトウエアがイノベーションや機能の充実などでプロプライエタリのソフトウエアを上回っていくだろう」(電通国際情報サービス 金融ソリューション事業部 シニアコンサルタント 飯田哲夫氏)と予測している。