写真1 NTTドコモの中村維夫代表取締役社長
写真1 NTTドコモの中村維夫代表取締役社長
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写真2 FMCサービスのイメージ図
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写真3 燃料電池の利用事例
写真3 燃料電池の利用事例
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 「ビジネス・ユースのFMCは既に始まっている。今後,無線区間が高速化すれば,必然的にコンシューマ向けの対応が可能になるし,お客様が求めてくることになる」――。7月19日,東京ビッグサイトで開催中のワイヤレスコンファレンス2006(併設の展示会はワイヤレスジャパン2006)の講演で,NTTドコモの中村維夫社長(写真1)は,固定と携帯の融合サービスであるFMCについて,個人向けサービスの展開を示唆した。

 ビジネス・ユースのFMCとは,同社が2004年末から提供している法人向けサービス「PASSAGE DUPLE」を指す。FOMA/無線LANデュアル端末を内線と外線の両方に使うことができる“ワンフォン”的なサービスである。講演のスライドでは無線LANとブロードバンド回線を使ったFMCのイメージが示され(写真2),今後は同等の仕組みを用いたワンフォン的サービスの個人向け展開が期待される。

 中村社長はこの講演で,今後の携帯電話のビジネスを(1)規制関連の動向,(2)技術の動向,(3)サービスの動向の大きく三つに分けて説明。FMCは(3)に該当する。(1)の規制関連に関しては,特にMVNO(仮想移動体通信事業者)に言及。中村社長は,「既存の携帯電話事業者とMVNOがともに協力して,WIN-WINの関係を築くべき」としてMVNOの参入促進自体は否定していないものの,「(MVNOに対する接続を義務化することは)投資インセンティブをそぐことになりはしないか。接続を義務化すべきではない」と改めて義務化に対する反対の立場を明確にした。

 総務省の「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」(IP懇談会)がまとめた報告書案では,MVNOの参入促進へ向けて,既存事業者側の技術仕様や接続拒否が認められる事由などの取り引き条件を明確化することを求めている。議論の過程では「携帯電話事業者は,MVNOから接続請求があれば“原則”応じる義務がある」という見解も示している(関連記事)。中村社長の発言はこの動きを牽制する。

 (2)の技術動向としては,端末の高機能化による消費電力増大への対応が喫緊の課題とし,その解決方法として燃料電池を用いた充電器を試作したことを説明した(写真3)。なお今回のワイヤレスジャパン2006では,燃料電池を用いた充電器の試作器のデモを見ることができる。