NECは2006年7月18日,個人情報を隠したまま認証を受けられるようにする“グループ署名”のためのアルゴリズムが実用化フェーズに入ったと発表した。公開鍵暗号方式の一種である楕円曲線暗号方式で用いる適切な曲線を発見したことにより,「世界最小のデータ長(1700ビット強)と計算量」(NEC)になったとしている。同社では,今後2年以内に製品やサービスに実装する。

 グループ署名とは,特定のグループに所属しているかどうかを認証する署名方式である。認証者はユーザーの個人情報を知ることなく,ユーザーがグループに所属しているかどうかだけを知ることができる。追跡者と呼ぶ権限を持つ者だけがグループ内の個人を特定できる。例えば,オンライン・ショッピングでクレジット・カードを使う場合に,Webサイト運営者はユーザーの個人情報を取得することなく認証が可能であり,追跡者であるクレジット・カード会社はカードを使った個人を特定できる。

 NECは2005年7月に,楕円曲線暗号をベースとしたグループ署名のアルゴリズムを開発した。同方式で用いる曲線の探索方法はよく知られているものの,適切な曲線を発見することは難しいとされている。今回,曲線を検索するパラメータを適切に設定したことで適切な曲線を発見,計算量が少なくて済むアルゴリズム開発につながったという。