写真1 米Transitiveの社長兼CEOであるBob Wiederhold氏
写真1 米Transitiveの社長兼CEOであるBob Wiederhold氏
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写真2 発表会場では,計算を伴うグラフィックス処理をデモした
写真2 発表会場では,計算を伴うグラフィックス処理をデモした
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 ネットワールドは7月18日,米Transitiveと代理店契約し,SPARC版Solarisのアプリケーションを改修せずにIntel版Linux上で稼働させるソフトの販売を開始することを明らかにした。SPARC版Solarisマシンの移行を計画する企業などにシステム・インテグレータ経由で売り込む。

 今回ネットワールドが販売を開始するのは,Transitiveが「QuickTransit」という名称で提供しているエミュレータ・ソフトの新製品。Xeon版Linux用「QuickTransit for Solaris/SPARC to Linux/Xeon」と,Itanium版Linux用「QuickTransit for Solaris/SPARC to Linux/Itanium」がある。Xeon版は2006年の第3四半期に,Itanium版は2006年末までに出荷する。

 Linuxマシン上で,SPARC版Solarisのアプリケーションを起動すると,このソフトが命令コードを変換した後,最適化してあたかもSolaris上にあるかのようにアプリケーションを実行する。最適化したコードをキャッシュに保存するなどで,コード変換に伴う速度低下を抑えた。Transitiveの社長兼CEOであるBob Wiederhold氏(写真1)は「グラフィックスや操作関係の処理ではネイティブ・アプリケーションとの差がない。計算処理は,ネイティブの約80%に落ちるが,Intelプロセッサのハードウエア性能がSPARCより高いために移行前より速くなる」とする。発表会場では,ベータ版を用いて計算を伴うグラフィックス処理をデモした(写真2)。

 32ビットと64ビット両方のユーザー・モードで動作するSolarisアプリケーションをサポートする。サポートするプロセッサはUltraSPARC V8,V8+,V9で,サポートするSolarisのバージョンは2.6以上。Solarisスクリプトも変更なしで動作するほか,アプリケーションのインストールに使うパッケージ・マネジメント・ツールも利用可能。Linuxは64ビットのRed Hat Enterprise Linux 4 AS,SUSE Linux Enterprise Server 10をサポートする。そのほか,2.6.9以降のカーネルのLinuxでも利用可能という。仮想マシン・ソフトを使うシステムも構築可能で,仮想マシン・ソフトVMware上で上記Linuxを動作させる環境もサポートする。

 ライセンスは,CPUソケット単位で,使用期間を限定したものになる。XeonのLinux用製品の価格は1ソケットで1年の使用ライセンスおよびサポート・保守付きの場合が20万円(税別),同1ソケット2年の場合が38万円(税別)。永久ライセンスにも柔軟に対応する。ItaniumのLinux対応製品の価格は未定。いずれもシステム・インテグレータなどを通じて販売するが,製品サポートは,ネットワールドが製品利用者に直接提供する。

 Transitiveの「QuickTransit」に用いている技術は,英マンチェスター大学で開発された。同社の本社は米国だが,マンチェスターに技術拠点がある。PCやワークステーションにおいては,既に「QuickTransit」の技術を適用した製品が提供されている。Mac OS Xに搭載されている「Rosetta」はその一つ。PowerPC版のMac OS Xアプリケーションを,Intel版Mac OS Xで動かせる。