ネットワールドは,Solaris用のアプリケーションをLinux上で動作させるソフトウエア製品「QuickTransit for Solaris/SPARC to Linux/Xeon」(以下,QuickTransit)を2006年9月中に発売すると発表した。QuickTransitは,SPARCプロセッサ上で動作するSolaris用(2.6以降)のアプリケーションを,Xeonプロセッサ搭載機などにインストールしたLinux上で動作可能にするソフトで,米Transitive社が開発する。ネットワールドが代理店契約を結び,国内販売する。「Red Hat Enterprise Linux 4 AS」,もしくは「SUSE LINUX Enterprise Server 10」に対応する。

 ネットワールドは2006年7月末からQuickTransitのベータ2版を公開し,2006年9月中に販売を開始する。価格は1CPUソケット単位,1年間の使用ライセンスとサポート,保守契約を含み20万円。2006年内にはItaniumプロセッサ向けのQuickTransitも発売開始する予定。

 QuickTransitは,OSではなく,Linuxアプリケーションである。Linux上でSolaris用のアプリケーションを起動しようとすると,QuickTransitが起動し,アプリケーションの起動プロセスをトラップする。その後,SolarisのABI(Application Binary Interface)をLinuxのものに動的に翻訳しながら,Solaris用のアプリケーションを実行する。このため,アプリケーションについては,ソース・コードやバイナリ・コードの変更は必要ない。

 QuickTransitはVMwareとは異なり,Solaris自体は稼働できない。ただし,Solaris用のシェルやシェル・スクリプトは利用できる。シェルからはSolaris上で動作しているように見える。CD-ROM装置などの各種デバイス,ネットワーク,ファイル・システムもSolarisと完全な透過性がある。

 Transitive社は,米Apple社にQuickTransitの技術を「Rosetta」という名称で2006年初頭から提供している。Rosettaを使うと,PowerPCプロセッサ向けのMac OS XソフトがIntelプロセッサベースのMacintosh上でそのまま動作する。Transitive社はまた,MIPSプロセッサ用のアプリケーションをItaniumプロセッサ上で動作させるために,米Silicon Graphics社に同技術を提供している。