写真1 7月14日のIP懇談会第9回会合<BR>この日報告書案が提示された
写真1 7月14日のIP懇談会第9回会合<BR>この日報告書案が提示された
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写真2 IP懇談会の座長を務める林敏彦放送大学教授
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 総務省は7月14日,「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」(IP懇談会)の第9回会合を開催した(写真1)。今回は,「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方について −新競争促進プログラム2010−」と題した報告書案を公開した。

 「新競争促進プログラム2010」は,IP化の進展に対応した競争政策,今後の接続政策の在り方,料金政策の在り方,ネットワークの中立性の確保の在り方などで構成。骨格となる九つの論点はロードマップ化されており,具体的には(1)設備競争の促進,(2)指定電気通信設備制度の見直し,(3)東西NTTの接続料の算定方法の見直し,(4)移動通信市場における競争促進,(5)料金政策の見直し,(6)ユニバーサルサービス制度の見直し,(7)ネットワークの中立性原則の検討,(8)紛争処理機能の強化,(9)市場退出ルールの見直し——の項目について,ガイドラインの作成や検討の場を設置することなどが目標時期とともに明記されている。

 注目されていたNTTグループの次世代ネットワーク(NGN)については,総務省にNGNの接続ルールの在り方を検討する場を設置する方針。映像プラットフォームのオープン性の確保などに留意が必要としている。また,NGNによる商用サービスは,東西NTTの活用業務の認可で提供可能だが,総務省は「地域通信業務を営むための経営資源を活用する」という活用業務認可制度の趣旨の再検証が必要と主張。活用業務により,東西NTTが地域通信業務を営む会社であるというNTT法の制度趣旨が,相対的に失われていく可能性があることにも留意が必要としている。

 指定電気通信設備の範囲については,通信レイヤーの設備だけでなくプラットフォーム・レイヤーでも指定電気通信設備として指定することを視野に入れ,東西NTTの市場支配力が上位レイヤーで濫用されることを防止することを明記。NGNの課金・認証用の設備も開放義務が課せられる可能性を示唆 している。

 会合ではこれら報告書案の要旨説明が行われたあと,構成員が1時間超,内容について議論。しかし,根本的に書き直す必要があるような趣旨の発言はなかった。そのため,座長の林敏彦放送大学教授は,今回の報告書案は表現の微調整を経てパブリック・コメント募集の手続きに入ることを確認した。

 7月19日から報告書案のパブリック・コメントが始まり,8月23日まで意見募集が行われる。IP懇談会の第10回会合は9月中旬の予定。