財団法人 コンピュータ教育開発センター(CEC)は7月14日,教育現場にオープンソース・ソフトウエアによるデスクトップ環境を導入する「Open School Platform」プロジェクトの2006年度の公募結果を発表した。茨城県の小中学校でLinuxを搭載したリサイクルPCの活用実験,大分県の高校で地場企業と連携したサポート・モデルの実験など6県16校での実験を行う。

 「Open School Platform」プロジェクトは,CECが経済産業省の委託を受け実施しているもの。2004年にIPAによる「学校教育現場におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての実証実験」として始まり,2006年度が最終年度となる。今回は,教育現場で自律的・持続的にオープンソースを利用できるようになるためのコスト構造,ノウハウ,サポート体制の確立が目標となる。そのため茨城県 神栖市でLinuxを搭載したリサイクルPCの活用実験,大分県で地場企業と連携したサポート・モデルの実験などが行われる。

 茨城県の神栖市,かすみがうら市,つくばみらい市ではリサイクルPC120台にLinuxを搭載して利用する。また3種類のサポートモデルを比較する実験も行う。小学校3校および中学校1校で,授業および校務での活用,Webカメラによる学校間での共同学習,KBを用いた学校間での交流などを行う。ソフトウエアとしてはTurboLinux Fuji,遠隔授業用教材作成ソフトWeb-Comのプレイヤー,オブジェクト指向プログラミングのIslayプレイヤー,KB,テレビ電話ソフトのGnomeMeeting,Skype,校務利用ソフトウエア,クラスルームPC管理ソフトウエアなどを利用する。

 大分県の大分市と豊後大野市では,高校3校で,CD起動Linux「KNOPPIX」を新規PC100台および既存PC100台で利用する。プログラミングや電子情報技術,情報処理などの教科で利用する。地場企業と連携したサポート・モデルを採りその確立を狙う。ソフトウエアとしてはOpenOffice.org,Firefox,GIMP,gcc,Eclipse,Spice,Blender,MultiVNCを利用する。KNOPPIXは起動を高速化した「Accelerated KNOPPIX」を使用する。

 千葉県柏市では高校2校に新規PCを100台導入し,情報Aの授業や,学校が設定した科目「サイエンスラボ」で活用する。国立情報学研究所がXOOPSをベースに開発しているオープンソースCMS「NetCommons」でデータ管理を行う。TurboLinux Fuji,StarSuite8,クラスルームPC管理ソフトウエアなどを利用する。

 宮城県仙台市では高校2校の既存PC90台にコンパクト・フラッシュ・カードから起動する「KNOPPIX on Flash」を導入する。情報Aおよび情報Bの授業で使用する。自宅から授業コンテンツにアクセスできるようにすることなどが実験の特徴。Firefox,Thunderbird,OpenOffice.org,GIMP,xine,totemのほか,機械設計や電気設計,回路シュミレータなどの専門教育ソフト,組み込み型ソフトウエア開発環境などを利用する。

 また昨年度からの継続として,岡山県の総社市および倉敷市,京都府京田辺市での実験も行われる。

 岡山県の総社市および倉敷市では小学校2校,中学校1校でFirefox,OpenOffice.orgを中心としたデジタル・コンテンツ活用,および出欠,成績,文書管理などの校務での活用実験を行う。またICT授業アシスタント派遣によるコスト重視型のサポート・モデル確立を目指す。ソフトウエアとしてはFedora Core,OpenOffice.org,Firefox,Tuxpaintを利用する。

 京都府京田辺市では小学校1校,中学校1校で実験を継続。教員はUSBフラッシュ・メモリー起動Linuxを校務で利用する。また多くの科目で,授業でHDD起動のLinuxを使用する。教育委員会主導による,コスト重視型のサポート・モデルを探る。ソフトウエアとしてはTurboLinux,StarSuite,GIMP,Firefox,クラスルームPC管理ソフトウェア,OpenSchoolコミュニケーションを利用する。

 茨城県の神栖市とかすみがうら市,つくばみらい市ではアドービジネスコンサルタント,大分県 大分市・豊後大野市ではアルファシステムズ,千葉県 柏市では内田洋行,宮城県 仙台市では東北学院,岡山県の総社市と倉敷市では富士通岡山システムエンジニアリング,京都府 京田辺市では内田洋行が取りまとめを行う事業者として採択された。