写真1 米ISSのダニエル・インゲバルドソン技術戦略担当ディレクタ
写真1 米ISSのダニエル・インゲバルドソン技術戦略担当ディレクタ
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 「2006年末から迷惑メールと同じような状況が,電話でも起こり始める」。7月14日,インターネット セキュリティ システムズ(ISS)が開催した記者会見の席上,ダニエル・インゲバルドソン技術戦略担当ディレクタ(写真1)はこう警告した。
 
 同氏がイメージするのは,スパマーがVoIPサービスとパソコンを使って,手当たり次第に電話をかけ,宣伝する世界。既にVoIPサービスが犯罪者にハッキングを受け,不正利用される事件が起こり始めているという。ハッキングしたVoIPサービスを利用すれば,犯罪者は自分の懐を痛めることなく,“無償”でいくらでも電話スパムを仕掛けることができるとした。

 電話でスパムがまん延するとはにわかに信じがたいところがあるが,インゲルバルドソン技術戦略担当ディレクタは「VoIPの仕組みは電子メールとほぼ同じで,プロトコル自体にセキュリティ機構が入っていない。そのことを考えれば,電話で同じ状況にならないとは言い切れない」という。「現在,電子メールの流通量のうち9割が迷惑メール。留守番電話のメッセージがすべて宣伝で埋め尽くされる日がやってくるかもしれない」(同氏)と結んだ。