写真 定例会見に臨んだNTT持ち株会社の和田紀夫社長
写真 定例会見に臨んだNTT持ち株会社の和田紀夫社長
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 「毎月20万人以上のユーザーが光ファイバを契約してくれている。次世代ネットワーク(NGN)がうまくいかなかったら大変な背信行為になる」——。NTT持ち株会社の和田紀夫社長は7月13日,定例社長会見の場でNGNのフィールド・トライアルと商用化に向けた強い決意を述べた。NTTはNGNの構築に向けて,7月中に接続インタフェースの仕様を公開し,12月から約1年間のトライアルを実施する予定だ。

 質疑応答では,7月14日に公表予定とされている総務省の「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」(IP懇談会)の報告書案に,NGNの設備に開放義務を課す方針が盛り込まれる可能性を問われた。それに対しては,「まだ,(IP懇談会の報告書案が)はっきりしないので具体的に話せない。きちんと方向性が出た段階で,パブリック・コメントなどに応じたい」(和田社長)と述べた。

 ただ同時に和田社長は,「『NGNの開放義務化』と言われても意味が分からない。NGNの構築についてはロードマップを公開し,上位レイヤーのアプリケーションやコンテンツ,端末などの接続条件も開示していくと我々は言ってきた。それ以上求められることはあるのだろうか」と疑問を呈した上で,「コスト割れでも設備を貸し出さなければならない義務や,我々の企業価値が下がる形での開放義務なら受け入れられない」とクギをさした。

 IP懇談会の報告書案では,指定電気通信設備として開放義務がある光ファイバの貸し出し料金の見直しにも触れているとされている。この点に対する質問には「現在の貸し出し料金はコスト割れだが,17年度のコスト実績を見極めてから,見直しを要請するかどうかを検討する」(和田社長)とした。

 またNTT持ち株会社は,現在NTT持ち株会社の傘下にあるNTTレゾナントと,NTT東日本子会社のぷららネットワークスを,それぞれNTTコミュニケーションズの子会社にすることを発表。併せてNTT東西地域会社の法人営業担当者の合計1200人程度を8月にNTTコミュニケーションズに移管する方針を正式に発表した。